165 『推測ではあれど』 ページ16
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──地図上に、その全ての丸が重なる場所ができた。縮尺の問題があるので決して狭い場所とは言えないが、この町全体の大きさに比べたらほんの少しである。児童らの家からは遠く、しかし歩いて到達できるほどの距離だ。
ここまで来れば、この重なった区域がどのような意味を持つのか分かった不死川。
ニヤリとあくどい笑みを浮かべ、不死川にドヤ顔で言い放つA。
「まぁ推測の域を出る訳じゃぁねえが、此処の近くが鬼さんの住処だってこたぁ分かったぜ」
いつもならムカつくその笑顔も、その言い草も、この瞬間だけは甘んじて受け入れるしかない。こんな方法で、それもタネが分かれば『そんなことで』と言いたくなる方法で、見事彼女は鬼がいる場所を突き止めてみせた。
確かに彼女の言う通り、推測の域を脱する訳ではない。だがこのやり方であれば、他の場所よりも鬼が居る場所を高確率で割り出せる。
もしかしたら違うかもしれない。たまたま円が重なっただけかもしれない。鬼は空間移動の異能を有しているのかもしれない。
「────よくやった」
「ふしゃ」
しかし、今は彼女が為し得た成果を、褒めるべきところであった。
不死川の、自分より随分と大きく男らしい手が、Aの頭の上に置かれた。そのままわしゃわしゃと乱暴に、慈愛を含んだ手つきで撫でられる。思わず猫のような声が出るが、まるで最愛の師匠を思い出すその手に、Aは何も言わずされるがままになった。
今誰かに顔を見られたら舌を噛み切る。
＋ ＋
その夜。
Aはまたもや隊服を着ずに単なる町娘という様子を装って、今朝割り出した居場所の近くをうろうろとしていた。通行人に彼女の表情は伺えないが、真昼であったら確実に遠巻きにされていたであろう般若のような顔面でうろうろとしていた。その背中に刀が隠されていることを知ったらもっと遠巻きにされていただろう。
彼女の脳内に、昼の不死川の声が
『お前はチビだから、何とかいけば鬼が勘違いしてくれるかもしれねぇ。なるべく身長を低く見せてガキらしく振舞え』
「クッソがァ……！」
いや、確かに自分が他の者に比べてチビなことは知っている。しかしながらそれは昔の話で、今は何とかちょこっとずつだけど伸びているのだ。ちょこっとずつだけど。
絶対あいつの背丈越しちゃる、とAは新たな決意を胸に秘めた。
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Aちゃんの現在身長→153.2。
原作編の身長→164.0。
という急成長。
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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……！！今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します！私も順番知りたかったのでありがとうございます！ (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年4月26日 17時
