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160 『口を開けば名前ばかりで』 ページ11

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「ねぇ不死川あれ奢ってくれない」

「待って足袋の紐切れた。おぶって」

「さっきすれ違った人すげぇ美人だった……、お前ああいう人好み?」




 やっぱ選択を間違えたかもしれねェ。




 不死川は好みの女性を訊いてきた彼女の頭に拳骨(四回目)を食らわせながらそんなことを思った。彼が彼女と出会ってから四日目だ。


 喧嘩(?)のようなものをしたAは初日の頃より増して彼に引っ付くようになった、足を踏み出せば「疲れた」、口を開けば「不死川」、見渡してみれば「あれ奢って」。お前はガキか、と言いかけた不死川はそうだガキだった、と思い直して頭を抱える。

 これですぐに別れられたら良かったのだが、あんな風な仲直りの仕方をして「じゃあさよなら」とできる奴はほとんどいないだろう。できる奴と言えば榊原くらいではないのか。


 要するに一緒に行動していることに嫌気が差すまでではないものの、何とかして彼女から逃れられないか悪戦苦闘している不死川であった。

 とそんな彼に転機が訪れ──



「任務ゥ! 任務ゥウ!」「町デ夜ナ夜ナ子供ガイナクナル! 場所は南南西!」「南南西ィ!」

「え」「あ?」

「二人デ向カエ!」「同ジ場所ダァァ!」



 ──ることは無く、いやまぁ転機と言えばそうなのだが、彼に天が味方することは無かった。予想外の言葉に不死川の顔が絶望に染まった。逆にAの顔は歓喜に染まった。対照的な様子の主達に、鴉が「ケケッ」と嗤った。

 マジかよ、と思わず漏れた呟きをAが拾う。眉をひそめながら「マジかよって何だよ」と訊くが、彼女の機嫌を損なえばどんなに面倒なことになるのか身をもってこの四日間で知ったので、当たり障りなく返事を返す。


 彼を良く知っている人物からすれば、彼が年下の女に此処までする光景を見たら卒倒するレベルで彼は今の彼女が苦手だった。



「クソがァ……」

「行こうぜ、ほら早く……あ? 酒? んなもん後で買えよカスっででででぇ! いひゃい! ははへぇ!」


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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……!!今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します!私も順番知りたかったのでありがとうございます! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/  
作成日時:2020年4月26日 17時

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