45 『良いことを願う』 ページ45
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「……」
「……」
こいつが、と少女は自分より小さい少女を見下ろした。少女というか幼女というか。
しのぶに着替えさせられたのであろう服。じっと何も言わず座っていて、それだけ見れば良家の娘のようにも見えるが、孤児であったことはカナエから聞いているので特に何とも思わない。
カナヲという名前らしい。
「おい。お前がカナヲか？」
「──」
一応の確認に訊ねる少女に、コクリと頷くカナヲ。
その表情には一切変化が無く、瞳にも揺れは無い。まるで
こういう奴は小屋にもいたな、と大して古くもない記憶を思い出す。何も考えられない、何もできない、何をすればいいのかわからない。ただ生きるために生きて食べるために食べる。そんな奴だ。
「……その飯は何なんだ。テメェのじゃねえのか？」
「──」
何も言わない。
「誰かに何か言われたか」
「……お腹が空いたら食べなさいって、しのぶっていう女の人に言われた」
少女の言う言葉をそのままトレースして回答だけを加えたような言葉。実際そうなのだろう。相手が言わないことは言うべきではない。
何故か。簡単だ。
��相手を苛つかせることになるかもしれないから��だ。
相手が起こる理由は知らないが、大概は理不尽な理由で怒られる。
『笑っていてムカついたから』『泣き喚いてうるさいから』『喋っていて目障りだったから』『邪魔だったから』『そこに居たから』
結果、��何かをしたら怒られる��のと��何もしなかったら怒られる��が両立という訳が分からないことになり、子供は思考停止状態に陥る。その子供の末路が、カナヲのような状態だ。
「……腹、空いてんのか？」
「──」
今度は答えない。答えられないのだ。お腹が空いているかどうか、自分では分からない。
そんな状態のカナヲを見て、少女はカナヲと目線の高さを同じにする。それから手を伸ばし、くしゃりとカナヲの頭を撫でた。
「……良かったな。あの二人に拾われて」
「──」
「誇れ。テメェは運が良かったんだ。他の奴等とは違ったんだ」
「──」
何も反応しないカナヲだが、少女はぐしゃぐしゃと彼女の頭を撫で続ける。
少女はぽつりと言った。
「良かったな」
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……！皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります！！ (2020年4月15日 17時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました！すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください！ (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか？ (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年3月28日 16時
