20 『悪行≒』* ページ20
残酷表現注意。苦手な人ホンットごめん。
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煉獄は刀を静かに地面に置きながらも、鬼をしっかりと睨みつけていた。少女はそんな二人の行く末を見つめていた。
だから、誰も気づかなかった。
少年が歩き。
煉獄の近くへと足を踏み出し。
その落ちた刀を握り締め。
鬼が戸惑いの表情を浮かべた。煉獄は何かに気づいたように、目をあらん限りに見開いた。少女は少年がしようとしていることを、予測し、理解し、自分が今出せる最高の速度で踏み切った。
少女が伸ばした手を、少年は悲しそうに見て。
「待──!」
「ごめん」
少年は笑みを浮かべたまま、己の腹を刺し貫いた。
ちゅぐ、と刃物が肉の中に侵入する生々しい音が辺りにこだまする。少年は肉と内臓を貫いた刀を抜いた。鮮血が近くに居た少女と煉獄飛び散り、丸い紋様を
鬼は少年の行動をいの一番に正しく理解した。そして自分の腹部が、刃物で刺されたような傷跡を残したのを見た。
「クソガキィッ──!!」
腹部を再生しながら血鬼術を解除。標的を少女に変えようと、
した瞬間、視界の隅で何かが燃えた。
「炎の呼吸、壱の型──
燃え盛る火が、炎が、鬼の頸を高速で断ち切った。鬼は唖然とした表情で、自分から離れた自分の胴体を見つめた。「あぁ、ぁぁ」と声を上げ、生首だけの状態で叫ぶ。
「いやだぁ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!死にたく、ない!クソォ、何で、死にたく、死にたくな──」
鬼の声が不意に途絶えた。パラパラと灰になる最中、鬼が死ぬ最中、存在が消えうせる最中。
彼は笑った。
「──ああ。
……ずっとそこに、居たんだな」
煉獄は鬼が残した言葉の意味を知らないし、知ろうとも思わない。鬼の悪行を考えればそうなることは当然の帰結だ。
だから、──彼の瞳に映った女性が泣きながら微笑んだこと。彼が手を伸ばして伸ばして伸ばして、それでも届かなかった存在があったこと。彼がずっとずっと、**たかったこと。
それを知っているのは、彼らだけで良いのだ。
──そうであるべきだ。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……!皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました!すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください! (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか? (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年3月28日 16時