16 『煉獄杏寿郎』 ページ16
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「はッ、はッ、げほっ……！！ お願いします！！ 誰か、誰げぇっほ、おぇ、かはっ……！ 誰か、助けて、助けて下さい……！！ お願い、げほっごほごほぉっ！」
少年は激しく喘ぎながら、尚も声を張り上げた。叫ぶことばかりに気を張りすぎて、路傍の石に躓いて、転ぶ。鈍い痛みが膝に走り、確認すれば血が流れ出ているのが見える。
「──」
血は、嫌いだ。それを流す相手が、誰であっても。
痛い。痛くて、苦しくて、辛い。喉が痛い。膝が痛い。足が痛い。肺が痛い。──少女を置いてきてしまった、心が痛い。
──あの場に自分が居ても、できることは無かった。だからこそ、少女を置いて逃げ出した。自分にできるのは、ただ声を荒げ、誰かに──己と少女を救ってくれる、英雄のような誰かに助けを求めるだけだ。
少女が助かる可能性を欠片でも底上げさせる為に、少年は逃げ出した。それを��弱虫��と呼ばないことを少年は知らなかった。ただ、駆けた。
──震える足、笑う膝、吐き気がする胃。無視しろ。
血が滲む膝頭。無視だ。
酸素を取り込む度に痛む肺。無視。
一歩動かす度に鉄を背負うように重くなる足、無視。
何もかもを無視して、がむしゃらに助けを求めて、走る少年。辿り着いた先は──
──ばたり、と。
倒れた。はぁはぁと、荒い息が間近で聞こえる。その瞳には、地面と夜明け近くの空しか見えない。
体が言うことを聞かなかった。動け、動けよ、と心の中で叫んでも、もうぴくりとも動かない。視界が滲む。やるせなさが胸中の中すべてを満たして。
大粒の涙が地面に吸い込まれる。泣いてもどうにもならないよ、と己を叱咤した。だけど、泣くしかできなかった。
──だって、体、動かないんだよ。あの子の元へ行きたいけれど、動かないんだよ。僕が救えなくてもいい、あの子が救われるなら、それだけで良いんだよ──なのに、なのに！
──なのに、どうして、体、動かないんだよ！！
「誰かぁ……お願い、します…………あの子、だけはぁっ……！！」
「──安心しろ。君も、その子も、絶対に救う。
その為に俺が来た」
……声が、聞こえた。
ひどく、安心する、声音だった。
「俺は、煉獄杏寿郎──鬼殺隊だ」
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……！皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります！！ (2020年4月15日 17時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました！すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください！ (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか？ (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年3月28日 16時
