28 『委細承知』 ページ28
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「うむ! 胡蝶殿、彼女の姿が見当たらぬのだが!」
唐突に響いた大声。彼女達が端正な顔立ちを驚きに染め、その大声の主に二つの視線が集まった。
大きな瞳を持ち、燃えるような色合いの髪を肩ほどまで伸ばしている。二人と同じく黒い詰襟の隊服に裾が炎のように広がっている羽織を着ている。
煉獄杏寿郎。この人物もまた、鬼殺隊の隊員である。
少女は少年が死んだ後、とにかく叫び散らして、一言ぽつりと言って、気絶するように眠った。隠が寺子屋の遺体と少年の遺体を処理しようとした時に、少年の遺体を埋葬するのを手伝った後少女を背中に抱えて、この蝶屋敷へと運んだ。
そして丸一日眠っていた少女のお見舞いをしようとして此処へ来たのだが、どうにも昨日の少女が居た寝台に少女が居ない。
何処に少女が居るのか探そうとしたが、それはこの屋敷の主人である胡蝶カナエに訊いた方が速いと判断したため現在に至る。
「煉獄くん。私達も彼女を捜しているの、どうやら屋敷の外へ逃げ出してしまったみたいで……。探すのを手伝ってくれないかしら?」
「ふむ……、そういうことか! 委細承知した!!」
相変わらずの大声で返答した後、くるりと身を翻して部屋から出て行こうとする煉獄。「ど、何処行くんです?」と慌てて声を掛けたしのぶに、煉獄は今度は静かに、呟くように言った。
「あの少女を見つけた処だ──十中八九、彼女はそこに居るだろう」
+ +
さて、煉獄と胡蝶姉妹が話し合っている時、煉獄の予想通り少女はそこへ向かっていた。
ハッ、ハッ、と荒い息をしながら走駆している少女。通行人はギプスを嵌め明らかな病人服で走っている少女に怪訝な目を向けたが、少女は気づかないことのようにそれらを無視した。
足がもつれた。肺が痛んだ。心が痛んだ。
少女は、駆けていた。
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カナエさんの口調掴めな過ぎてわろた。不死川に向かってくん付けしてたから多分煉獄さんにもくん付けっていう曖昧な推察。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……!皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました!すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください! (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか? (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年3月28日 16時