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「ふわぁぁ……っ」
大きな欠伸をしながら日向はだらだらと階段を降りていく。
「のんびりですね、日向」
そこには、お客に団子を出す松が柔らかく笑って彼女を迎えてくれた。
「日向ちゃん、もうすぐ昼だよ〜」
松から茶と団子を受け取った客がゲラゲラと笑う。
この店は常連客が多く、店の手伝いをする日向も町中で会うと挨拶をしてもらえるほどに親しくしてもらっていた。
「依頼人との約束は3時なんだからいいんですよ、別にぃ」
寝起きで機嫌が悪いのかむすぅっとした顔で日向は応える。
しかし、こんなことはしばしばある事なので見慣れた客達はそれさえも笑い飛ばす。
松の団子が、松の人柄が、松の優しさが、人を惹きつけ、人を結ぶ。
ふと、閉じ込められたはずの記憶の片隅で何かが蠢いた。
日向はぼんやりとしていた頭を慌てて切り替えると松の手から盆を受け取る。
「日向が運ぶよ!」
(過去は思い出さない。今が 一番幸せだと思うから……。)
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時