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午前中は勲の部屋で総悟と3人でトランプをした。
無論、十四郎に怒られた。
その後、総悟と近くの蕎麦屋で昼食をとり
縁側で昼寝をした。
慌ただしく歩いていた十四郎に蹴っ飛ばされた。
午後は終やスキンヘッドの原田にちょっかいを出しに行った。
会合帰りだという十四郎がおはぎをくれた。
そんなこんなで暇を感じない1日を過ごした日向は、仕事に一区切りをつけた退の車で団子屋へ向かっていた。
運転席に退。
後部座席に総悟と日向である。
「明日はどうしやす?一番隊と一緒に仕事するか?」
団子屋へ向かう道中、日向はいつもより暗かった。
そう総悟が声を掛けても、じっと流れる外の景色を見つめている。
「…明日も、松さんは帰ってこない?」
蚊の鳴くような声でポツリと呟く日向。
「早く会いたい……」
気の利いた事を言えない2人は押し黙る。
そんな沈黙を破ったのは、パトカーの内線だった。
『おい、総悟、山崎。今すぐ屯所に帰ってこい、日向もだ。』
切羽詰まった十四郎の声が響く。
「えぇ!ダメだよ、家に戻らなきゃ!」
身を起こした日向は抗議するが、ここまで焦りの含む十四郎の声はなかなかに聞かない。
「ごめんね、日向ちゃん!後で俺が書類取りに来てあげるから!」
只事ではないのだろう、と踏んだ退はハンドルを切る。
膨れっ面になった日向はシートに深く身体を沈めた。
−−−−−−
「…ない………一体、どこで…………!?」
いつもと違う切羽詰まった形相で、松はガタガタと引き出しを漁る。
「アイツが帰ってきたらどうするつもりだったんだ?」
通り過ぎた煙管の匂いにも気づかない。
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時