百三十一訓 男ってメンドくさい ページ18
*総悟の刹那*
「これ、松さんに絶対 似合うよ!」
さっきと一変。
ずーっとにこにこと笑いながら
あーでもないこーでもないと簪を見る彼女…日向は 真選組内で有名な問題児だ。
毎日のように何かしでかし、育ててくれているお松さんに迷惑ばかり。
でも なんでですかねィ。
まるで姉上と幼い自分を見ているようで、2人には幸せになって欲しいと願う自分がいるんでィ。
「決めたよ、総悟!これにする!!」
思想に耽る俺に 日向が声をかけてきた。
手には銀色に輝く簪が握られている。
飾り気は少ないが上品で、確かにお松さんには似合いそうな簪だ。
「日向にしてはいいセンスでさァ」
茶化すようにそう言うと、うるさい、バカ!と返された。
「買ってくるから待っててよ?」
そう言って店の奥に入っていくそいつの背中を見送りながら
姉上にも買って行こうかな、なんて柄にもないことを思ってみたりする。
姉上………
俺はロクでもねぇ弟でした。
だけど、わき見もしないで前だけ見て今は生きてるつもりでさァ。
姉上はそんな俺のことを、ちゃんと見守ってくれてやすかィ?
いけねぇや、つい感情的になっちまった。
俺は姉上の栗毛の髪に合いそうな色合いの簪をひとつ握りしめると、戻ってきた日向に言った。
「俺も買ってくらァ」
姉上のことは知らないはずだがそいつはいつもの笑みを浮かべながら
「おう!」
と返してくる。
姉上。俺ァ 幸せにモンでさァ。
姉上の弟になれて。
悪友を四人も得られて………。
*総悟side 終*
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時