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翌日。
暑くもなく、寒くもなく、散歩日和とも言える柔らかな日差しの下で彼女は例の兄妹を待っていた。
指定された場所は事もあろうことか真選組の屯所裏。
あの忌々しいマヨネーズに見つかったら嫌味と小言のオンパレードだ。
それだけは避けなければ…。
と、丁度その時カシャン と歯切れのいい音がして裏口が開いた。
ビクッとしてそっちを見ると隊服姿のジミー…もとい退が現れる。
「日向さん!」
彼もこちらに気付き会釈をした。
慌てて隠したミントンの存在はなかったものとしよう。
「こんなところで何してるんですか?」
退が問うた。
「依頼人と待ち合わせしてるんだ」
日向は女の自分にも丁寧に接してくれる退は嫌いじゃなく、素直にそう答える。
そうなんですね、と頷き
頑張ってください!と 笑みを浮かべた退に
日向は頷き返した。
*
退が屯所に入ってから数分後。
「遅くなりました、すみません!」
息を切らせて依頼人の少女が駆けてきた。
その後ろには見覚えのあるような…でも、ないような男が一人。
彼が彼女の兄なのだろう。
「あぁ、いえ。大丈夫ですよ」
依頼が殺到するほどの知名度ではないのでほぼほぼ暇な日向は、ぺこぺこと頭を下げる彼女に言った。
そして、兄であろう男へ向き直り右手を差し出す。
「日向です。好きに呼んでください」
男はその手をやんわりと握り返すとあまり表情を変えずに言った。
「拙者は__________」
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時