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「これ、萩の名物なんです。お口に合うか分かりませんが……」
「わざわざすみません、気を遣わせてしまって」
十四郎が苦虫を噛み潰したような顔で見守る中、勲と松は縁側で話をしていた。
松の隣には、ちょこんと日向がおとなしく座っている。
「エラい静かですねィ?」
総悟が揶揄っても、えへへと嬉しそうに笑う。
「いつも騒がしかったのね?」
ちょっと怒ったような松の声音に、日向はブンブンと首を横に振った。
「日向、いい子にしてたよ!銀時のね、お家の下のお店に行って、新しい友達もできたの!屯所のみんな、十四郎以外、優しくていい人達なんだよ!」
柱の向こうで隠れて話を聞いていた数名の隊士たちが、うんうんと、頷きながら見守っている。
いつもなら一言ありそうなものの、十四郎は何も言わない。
「まぁ、俺たちはいつでも大歓迎だから、また真選組に手伝いに来てくれな」
彼の仏頂面を見かねた勲が、わしわしと日向の頭を撫でると、彼女はうん!と大きく頷いた。
「隊服もせっかく作りやしたからね。これ、日向の特注なんですぜ?」
珍しく空気を読んだ総悟も、明るげにそう付け加える。
「今度、助さんにもっと可愛くしてもらうんだ!」
いかつい見た目に反して、とても器用な原田とした約束を自慢げに話す日向に、松は静かに微笑んだ。
十四郎は終始、口を噤んでいたが他の隊士との話には花が咲き、気付けば日が傾き始めていた。
「では、そろそろお暇しますね。帰りましょう、日向?」
スッと立ち上がった松に対して、跳ねるように縁側から飛び降りた日向は、松の荷物をいくつか手に取る。
ありがとう、と声をかける松に、初めて十四郎が硬い口を開いた。
「そういや、今日は簪をつけてないんだな?」
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時