1_3 ページ5
*
「ほら、総悟もこう言ってるし!もういいよ、帰ろうよ〜!」
グイグイと着物の袖を引く彼女に、貴女も謝りなさい!と厳しく告げると、頭を掴み、半ば強引に下げさせた。
「い、痛いよ!松さん、痛いっ!」
きゃんきゃんと騒ぐ彼女は、そのまま松に引きずられるようにして屯所の外へと消えて行く。
最後に十四郎に向かって舌を出すのはいつものことだ。
「アイツもいい人に出会いましたねィ」
彼女達が出て行った門を眺めながら総悟はしみじみと呟く。
「そうですね…本当に。」
乾いた笑みを浮かべながら退もこくこくと総悟の言葉に同意した。
「武州の女に似てるよな、松さんは。」
十四郎は故郷を懐かしむように目を細めて遠くを見る。
その瞳に映るのはミツバに違いない、と総悟は密かに思った。
3人で縁側に佇んでいると
「お松さんから貰ったぞ〜!!」
と、能天気な声をあげて強面の男がのそのそと帰ってくる。
手に握られた紙袋は松が持ってきたあの団子であった。
「ったく、近藤さん。総悟がせっかく断ったってのに……」
十四郎が溜息をつく。
「あ、すまん。ダメだったか?!」
男…真選組局長・近藤 勲は困ったように眉をひそめ、肩を竦めた。
「まぁ、いいでさァ。文句無しに美味いんですから、お松さんの団子は」
嬉しそうにそれを勲から受け取った総悟は、通りかかった隊士に台所に運ぶように頼む。
「俺が明日、お礼に伺いますよ」
退が言った。
*
22人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時