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民家が建ち並ぶかぶき町の裏路地にひっそりと佇む屋敷。
「ククッ…幕府の犬どもに預けて来たのか?」
喉の奥で笑いながら、男は煙管をふかす。
「ええ」
女は静かに頷いた。
男がするりと窓枠から降りる。
そして、眼帯で隠れていない方の目でじぃっと彼女を見た。
「……似てるなァ、先生に」
「…貴方様はわっちを見る度にそれを言いはりますな」
彼女はふふ…と自嘲気味に笑う。
「足音だ…着いたんじゃねェのか」
そんな彼女の笑みに背を向け、男は煙を盛大に吐き出した。
ガラガラと戸が開かれる。
「おい銀時、俺に一体何のよう…だ……ッ?!」
そこに立っていたのは、あの居酒屋で銀時と酒を呑んでいた桂であった。
彼は、驚きを隠せないといった表情をして固まっている。
包帯の男…高杉がわざとらしく小首を傾げて言った。
「おいズラ…どうしたんだよ?久しぶりの再会じゃねェか」
高杉 晋助…江戸で知らぬ者はいるのだろうか。
それほどに凶悪だとされているテロ組織の長である。
彼も攘夷戦争に参加し、鬼兵隊の総督を担っていた。
今は新たに戦力となる幹部を加え、新たな鬼兵隊…テロ組織をまとめている。
そのように危険な男が何故……
桂は考え、脇に立つ女を見て思考を止めた。
(銀時が言っていたのはこの女人か……!!)
居酒屋での銀時の言葉を思い出した彼は彼女を凝視する。
たしかに彼女は『先生』に似ていた。
「松にございます」
彼女はひとことそう言った。
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時