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いつの間にか真後ろに来ていた薮は、俺の肩越しからひょいとチラシを覗き込んだ。彼の温度を近くに感じる。たったそれだけの事なのに、自身の心臓は妙に騒がしい。

「空が落ちる。つまりは世界の終わり」
「ドラゲナイ?」
「全く違うし。イギリスの寓話だよ、知らない?」

 問いかけにこてりと首を傾げると、やっぱりねと苦笑いされた。そもそもおとぎ話にそれほど詳しい訳ではないし、むしろここまでの知識を得ている薮の方が異常に博識なだけではないのだろうか。

「頭に木の実が落ちてきたのを空が落ちたって勘違いしたヒヨコの話」
「ああ、だから世界の終わり…」
「空が落ちる。世界が終わる。最後には絶望しか残らない」
「…よっぽどマズイのかな、この青いりんご飴」
「少なくとも俺は買わない」
「そもそも薮ってりんご飴とか買ったりするの?」
「時たまね」
「えー!似合わなーい!」
「うるさい、置いてくよ」

 どうやら再び不機嫌にさせてしまったようで、薮はニコリと形だけ笑ってスタスタと先を行ってしまう。
 台詞通り置いて行かれた俺は、小走りで薮の後を追いかけて彼の制服をちょいと摘まんだ。

「薮、歩くの早い」
「伊野尾が無駄に遅いだけだろ」
「やぶ、」
「何?」
「お祭り、一緒に行こう?」
「…そんなに気になるんだ?あのりんご飴」
「えへへ」

 嘘だ。青色のりんご飴の正体も気になると言えば気になるけれど、本当は薮と放課後デートのようなものがしたかっただけ。けれどそんな本心はひた隠しにして、言葉をさらに紡いでいく。

「だって、マズイって言われたらそれはそれで気になるじゃない?」
「伊野尾って変なところで冒険しようとするな…」
「薮は定番ものしか選ばなさそうだよね〜。すぐ老けちゃいそう」
「その通りだけど一言余計だしお前に言われるのは腹立つ」
「なんで!」

 一緒に夏らしいことしようよー、とさらに畳みかければ、夏らしいことならここにあるでしょ、と肩にかけていたスクールバックをぐいっと引っ張られる。

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , bl , やぶいのやまいの   
作品ジャンル:恋愛
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琴葉(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!矛盾しているその気持ちわかります。映画が終わった瞬間だとか、最終巻を読み終えた時だとか。薮くん視点やその後のお話、考えてみますね。時間がかかってしまうのですが、待っていていただけると嬉しいです。とりあえずただいまです。 (2018年5月22日 16時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - おかえりなさい。今更みたいになってしまいましたが。完結してしまったんですね。続きを読めて嬉しかったけれど終わってしまうと一抹の寂しさ。個人的には薮くんサイドのお話やその後のふたりも気になります。また落ち着かれたら新しいお話もお待ちしてます(^ω^) (2018年5月19日 20時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - かほさん» こんにちは。受験、終わりました。応援ありがとうございます^^ (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ひなたさん» こんにちは。受験、終わりました!待っててくださってありがとうございます。今週中には更新するつもりです。遅くなってごめんなさいm(_ _)m (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - このお話大好きです。受験、応援してます! (2018年2月10日 20時) (レス) id: fb0730de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琴葉 | 作成日時:2017年8月23日 12時

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