九話 ページ10
あれ?
高崎ってこんな奴だっけ?
自分が持っていた彼への印象とは全くもってかけ離れた返答に俺は高崎を見ながら呆然とする。
そんな俺の視線に気づいた高崎は、ニコリと笑顔を見せた後「やってやった」と言わんばかりの顔で俺を見た。
なんだろう・・・
スゲームカつくわ。
「おい!お前は!」
「え?あ、はい・・・」
土方さんの声で我に返った俺は、彼らが納得するような言葉を探す。
だが、考えようとすればするほど何も浮かばず、俺の中に焦りが生まれる。
やばい。やばい。
早く言わないと・・・
「なんだ。理由がないのか?」
「いや!あります!あります・・・」
この時代に来て俺は新しい自分になると決めたんだ
それなのに、尊敬する彼らに偽りを言ってどうする。
そんな気持ちで、本当に自分を変えられる訳がない
俺は、大きく深呼吸してから新撰組の幹部全員を一度見渡した。
そして、
「俺は、今の自分を変えたくて此処に来ました。
今までの俺は、何に関しても自分の意思を持たず、周りの人間の言うことばかりを聞いて楽に生きてきました。
自分の誇りも志も持たずに・・・
そんな自分が嫌で変わりたくて、それでも怖くて前を向けなかった。
そんな時、貴方達の話を聞きました。
武士の家系に産まれた訳でもない。それでも己の志を強く持ち此処まで登りつめてきた貴方達の話を。
その時決めたんです。
少しでも貴方達の後ろで、貴方達の見ている景色を見たいと・・・
だから・・・」
集まる視線。
沖田が座る方から感じる殺気。
「お前の気持ちは分かった。
だが、俺達は京を取り締まる新撰組だ。
己の持つ意志と同じぐらいに腕も必要だ」
「実力・・・」
「言ってしまえば、お前に腕があるとは思えない」
どうする。
このままだと落ちるのは確実。
「腕ならあります」
やるしかない。
俺は胸元から、さっき高崎から渡された小刀を出す。
そして、
「さっきから見ているのは気づいているぞ」
天井に向かって投げた。
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鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年6月13日 22時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
ユピノン(プロフ) - サイコパスさん» 読んでくれたんですねぇぇぇええ!!!!ありがとう!!!!!! (2018年7月13日 7時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス(プロフ) - 待ってたあああああああああ (2018年7月9日 20時) (レス) id: 360999b51b (このIDを非表示/違反報告)
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