能面 その弐 ページ2
昨日会ったことをその先輩に話してみた。先輩は、最初興味なさそうな顔をしていたのだが、箱の外に出てきた面の話をすると、神妙な顔立ちになった。「おかしいな。」と先輩は考え込むしぐさをとった。指でデスクをトントンと叩きながら、考えている。
翡翠「物理的に考えてありえないことだ、それは。」
琥珀「で、ですよね。やっぱり地縛霊か何かですか?」
翡翠「霊にとっては、物質とかはそこにあってないようなとのだほとんど空気と同じ。だが、重要なことなんだ。霊にとって触れられないものが目の前にあるが、今いる自分の位置と薄いその物質の向こう側は何があるのか解らない。霊にとってそこは、見慣れない世界そのもになるかもしれないんだ。俺のお師さんの考えはそんな感じだったからな。だけど、その話を聞く限り地縛霊ではないだろうな。」
琥珀「では、浮遊霊ですか?」
翡翠「当てがあって彷徨い、当てがなくて彷徨い、その場に留まることを知らずに、どこに行くかも分からず、いたずらをして見せたり、興味なさそうに去っていく。浮遊霊は、そんなものだ。その面は、何かに憑かれているのか、それとも、付喪神化してるのかもしれないな。ただ、」
琥珀「ただ、何です?」
先輩は真面目な顔で言うのだ。
翡翠「言ってないよな、お前。[[能面から得体のしれない悪意を感じる]]ってよ。」
ゾクリとする。先輩のほうが得体が知れない。たまにだがあるのだ。誰も言ってない心の中で考えていることを言うことが。先輩が考え込んでいる。僕が話した話を解決するのだろうか。と、その時、興信所の戸が叩かれ、「お邪魔します。」という声が聞こえた。聞いたことのある声。寮のおばちゃんである。「あなたが、ここの所長さんでよろしいでしょうか?」と先輩に尋ねてきた。先輩は、「そうですよ。お掛けになって下さい。」そう先輩は言い、促した。寮のおばちゃんはこちらを見て、頭を下げた。僕はおばちゃんにお茶を出して、先輩の隣座った。
翡翠「で、どうされましたか?」
おば「はい、あの、お伺いしたいことがありまして・・・・・。」
翡翠「何でしょうか?」
おば「噂で聞いた程度なんですけど・・・・、ここは、オカルト・・・心霊とかを取り扱っているというのは、本当なんでしょうか?」
翡翠「本当ですよ。ここは、心霊系統専門の興信所ですよ。で、ご依頼の内容は、呪われた能面ですね?」
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作者名:水神 竜聖 | 作成日時:2017年7月4日 21時