能面 その壱 ページ1
これは、僕が昔に体験した話だ。高校一年生の春、新しい生活の始まりだ。新しい友達、新しい生活空間。因みに僕は、寮生なのだが、放任主義の管理人で、外泊しようが、お構い無しの人だった。今から考えるとあり得ない気がしてる。この寮の壁には、面が飾ってある。縄文で使われたであろう、猿のお面や鬼の面、狐の面、狸の面、ひょっとこや縁日などで売られてるものもあったのだが、一つ違和感を持った面があった。能面である。この能面は、普通の能面だったのだが、他の面と比べて、明らかにおかしかった。箱のようなものに入っていたのである。透明なガラスが貼ってあり、木の枠には、呪文のような物が書き込まれてる。僕は、これをみた瞬間嫌なけはいを能面に感じた。(あの人の好きそうなものだな。)と思いながら、その場を去った。
その日の夜、深夜にトイレに行きたくなり、部屋を出る。月明かりに照らされた廊下を進んでいると、面の並んだところに出ると、能面が落ちてた。寝ぼけていたから、分からなかった。そのままトイレに行って、用を足した。で、戻ってくると、落ちてる、能面が。眠気が覚めてきて、鳥肌が立った。勧善に密封された状態の能面が、その場に落ちてるのは、完全におかしかったのだ。僕は、その場をダッシュして部屋に戻った。因みにチラッと枠の方をみたら、能面が無かった。部屋に戻って、布団を被り、ガタガタ震えながら、朝を待った。
次の日、学校が休みだったので、中学の時に知り合った大学院生の先輩のところに行った。そこは、興信所だったが、普通の興信所ではなく所長兼所員の先輩いわく、「普通の依頼は来たことがない。」と言っていた。普通じゃないなら何だというと、つまりは、お化けや心霊といった依頼がくるらしかった。何故そんな依頼ばかり来るのかと訊いたら先輩がこう言った。
翡翠「俺のお師さんが、霊能者だったからな。まぁ、そこのイスに座っていた所長は普通の人だったんだがな。」
つまり、霊能者がいるから、そんな依頼が、そんな依頼ばかりがくると、そんなわけである。まあ、僕もオカルトは好きだったのだから割に合ってるバイトである。・・・・・何度も怖い目に合っているのだが・・・・。そんなことはさておき、興信所に着いて、ドアを開け、僕の顔を見た先輩の一言は・・・・・。
翡翠「全く、また厄介ごとを持ってくるとは、疫病神め。」
琥珀「すみません。そんな事より聞いてください。」
翡翠「また夜が長くなりそうだな。」
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作者名:水神 竜聖 | 作成日時:2017年7月4日 21時