63、年始 ページ14
『…っ…う…』
酷く痛む頭を左手で抑えようとすれば何かが私の手についていた。
よく見ればいつもと違う天井
そして細くなった腕
ズキッ
『痛…今いつ…?』
頭を押さえながら起きあがろうとするが体にうまく力が入らずベットの上に倒れ込んだ。
近くにある窓は閉められていたがなんとなく雲ひとつない空を見て冬なのかなと思い近くにあった携帯を開いた。
日付は1月1日を指している。
(ってことは…ハロウィンから2ヶ月。百合會も解散したか…)
ため息を吐きながら携帯の待受画面になっている百合會全員の集合写真に目をやった。
『後1日早く目を覚ましたかった…。』
Aは今度こそ起きあがろうとベッドの柵を掴み座った。
ガラガラ
すると部屋の扉が空いた。
「…。A?目ぇ覚めたのか…?」
声のした方に振り向けば何も変わらないドラケンが立っていた。
『なんでドラケン?』
そういえば彼は歩みながら私に向けて喋り出した。
「雪が今日来れねぇから窓開けて空気入れ替えてやるのとこれ、持って行けって言われたんだよ。たけみっちにも言われたしな。」
そういいながらドラケンは私にアップルパイを渡した。
『たけみっち?目が覚めなかったらどうすんねんこれ。』
「俺が食う。」
『やだやだやだやだ!!うちのや!』
ドラケンからアップルパイを受け取ると口に入れた。
『ゲホッゲホッ!!』
「2ヶ月寝てたのに急に食うな!!」
その後、看護師を呼んでくれ一緒に診察を受けてくれた。
「雪に連絡しないとな。」
『あかん。やめて。』
ドラケンは雪やマイキーに連絡を取ろうとするがその手をAに止められた。
「なんでだよ。あいつらお前のことすげぇ心配してんぞ。」
その言葉を聞いたAは俯いた。
『うち、大阪に帰る。百合會も無くなったし、うちはうちの道を進もうと思う…』
「…。それでも、目覚めたことは言うべきだ。」
『あかん…。これからのうちの道にあんたらを連れて行くことはできない。』
そう言った瞬間だった。
ガラガラ
「まぁ、もう連絡したけどな。」
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はんむ - 最高でした! (2021年11月23日 0時) (レス) @page39 id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - 失礼します。鶴蝶が確蝶になってます。 (2021年11月3日 12時) (レス) @page35 id: b204aab9e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの娘です - とても素敵な作品をありがとうございましたァァァァァァ! (2021年10月28日 15時) (レス) @page34 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
I’m海月(プロフ) - もう好き!梵天軸のお話を組み立て頑張ってください! (2021年10月16日 19時) (レス) @page39 id: 248713b743 (このIDを非表示/違反報告)
怜衣(プロフ) - すごく面白かったです!私は梵天軸がいいです! (2021年10月13日 13時) (レス) @page37 id: 84ddb6d095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2021年10月8日 20時