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引っ付き虫 ページ28

あれからというものの、私が蝶屋敷に行けば嘴平君が私の横にぴったりとくっつくようになった。



お握りがなくてもだ。



「おい、A!!これは何だ!!」



『触らせて...。これは、ペンよ。』





「これは!?この赤い花!!」



『この香りは彼岸花ね。私の羽織にも書いてあるでしょう?』



「ほんとうだ!!!」







「これやるよ!!!」




『これは何?』



「俺様が選んだピカピカのどんぐりだ綺麗な茶色だぞ!!!」



『ありがとう。』






「この花もやるよ!!」



『この花は百合かな?』



「名前はしらねぇが、白くていい匂いがすんだぜ!!!」






最初こそはこれは何だと聞くだけだったが、最近では色や形なども私に教えてくれた。




と言っても色に関しては見た記憶があまりないため言われても想像つかないが、目が見えない私への彼なりの最大の配慮なのだろう。




そんな嘴平君は前よりもだんだんと私の隣にいることが多くなった。




ついに、いつもの甘味処へもついてくるようになったのだ。




『嘴平君は何を食べる?』



私も私で彼のことはかわいがっている。




「俺はお前のおすすめな。」




だが、今日は来てほしくはなかった。




「俺様はてんぷら!!!」




「ここは茶屋だ!!そんなものはねぇ!!」



そう。



今日は天元に茶屋を誘った日なのだ。




『なら、3人とも同じやつね...。』



私が注文を終わらせると天元がひたすらに私へとくっつく。



そして向かい側に座る嘴平君はずっと私にこの赤いのは何だとか質問攻めを繰り返していた。




「この銀色の武器は何だ!!」



『どれどれ...これは「フォークだ」...。』




「この小せぇ皿みたいなのは!?」



『これはス「スプーンだ」...。』




私が答えを言おうとすると天元が答える。



「俺様はおっさんに聞いてねぇ!!!」









料理が運ばれてくるまで続く熱戦に私は静かに他人の振りをしていた。

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(プロフ) - あゆさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2021年3月8日 16時) (レス) id: 4194e7bbca (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - とても楽しく読めました (2021年3月8日 16時) (レス) id: 4ea86db667 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年2月14日 15時

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