夜は廻って おともサイド ページ14
「じゃあ行ってきまーす。」
と妹が元気に飛び出し、私は手を振る。
たったったっと靴音が小さくなるのを聞きながら、私はため息をつき、玄関を閉めた。
………あの日から、もう三年か………
私は靴箱の上に置いてあるたった一つだけの家族写真を見た。
前まではこの写真を見ると哀しい気持ちになった。
お母さんの代わりにならなくては
と気持ちが焦っていたのだろう。
だけど今は違う。
『大丈夫だから。わたし、もうお姉ちゃんの手離さないから』
あの夜の後、ポロのお墓参りに行った時の妹の顔をおもいだす。
そして家族写真のお母さんに目を向ける。
「………お母さん、こともは元気に大きくなってるよ。元気すぎて最近困ってるけど………」
本当は、仏壇に向かって言うことだが、私はこの写真のお母さんにいつも向かって言っている。
「………私、頑張るね!………頑張りすぎないよう努力はするけど………」
と言って苦笑した。
………今は、この写真を見ると勇気が出るのだ。
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あああああ - おもろす (2020年6月1日 21時) (レス) id: d0334cded8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふうりん | 作成日時:2019年9月15日 23時