#8_約束と別れと始まり ページ9
江口「私じゃ…ダメですか?」
A「ダメ…?す、すみません。状況が理解できなくて…」
江口「…私だったら!!貴方を傷つけたりしない。私がそこに居たら…貴方の傍に…いたら…私なら!!…私ッ…なら…」
さっきよりももっと強く抱きしめられる。
江口さんが顔を肩に押し付けていた。…そしてわずかだけど、何か熱いものが肩に。
A「その気持ち、凄く嬉しいです。…けど、私にはもういますよ。…前の世界では、流石にいませんが、今、いるじゃないですか。…私はそれで、十分幸せです。」
江口「…貴方は…強い。私は昔から弱くて。皆からよくバカにされていました。」
A「そうだったんですか。」
江口「…お礼。まだもらってもいいですか。」
A「もちろんですよ。」
江口「じゃあ、もう少し…このままでいさせてください。」
親に甘えている子供みたい。江口さんには悪いけど可愛い。
江口「…なんか…落ち着きます。」
A「そうですか?良かったです。」
江口「離したくない。このまま、ずっと一緒にいたい。」
A「!?…そ、そんなこと言われたら…」
江口「私を好きになってくれますか?」
A「正直…分からないんです。私にも。」
江口「そう、ですか。」
残念そうにそうつぶやいて私から離れた。
…すると額に静かで控えめな音と共にほのかに熱い感覚が。…私が驚いていると…
江口「ふふ。そんな顔もするんですね。とても可愛いですよ。…唇はいつか貴方が私を好きだと言ってくれる時まで取っておきます。」
A「は、はい…」
江口「長い旅になりそうですからお気を付けて。…私は貴方のことをずっとここで待っていますから。いつでも来てください。…では。」
な、なんだったのだろうか。
…でも、こんなに暖かい気持ちになったことなんていつぶりだろうか。感謝しなければ。
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…もう、この日が来てしまった。とても早く感じた。寂しいけど、物事には必ず終わりは来る。
ウィング「うぅ…寂しいよぉ〜」
江口「永遠の別れではないんですから(笑)…でも、そうと知っていてもいざとなると悲しいものですね。」
木村「…じゃあ行こっか。Aちゃん。」
A「はい…皆さん!!色々ありがとうございました。また必ず会いましょう!」
ウィング「またねぇ〜!!」
江口「ええ。その時まで。また。」
…そうして私は、2人に別れを告げた。
これが私の長い旅の始まりだった。
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秋桜(プロフ) - 陽炎狐さん» ありがとうございます…! (2020年9月27日 11時) (レス) id: 5054075bf8 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎狐 - すげぇ…声優×ファンタジーだ…面白い!!!!! (2020年9月26日 13時) (レス) id: d9951e1648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:秋空アリス | 作成日時:2019年10月6日 14時