【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ5)

今日:13 hit、昨日:24 hit、合計:79,187 hit

Wartime Karriere52 ページ5

ハンジに追い出され、トボトボと歩くリヴァイ。すぐにAとは、さすがに顔を合わせる気にはなれないため、外を当てもなく歩いていた。すると、遠くの方で歓声が上がっていた。声のする場所に向かうと、そこでは多くの兵士が何かを見ていた。

「おい、なにやってる」
「…！？リ、リヴァイ兵長！」
「何やってると聞いている」
「あ、えっと…副兵長…？が、あまりに見事な立体起動で…」

副兵長、という単語に違和感があるのか、若干首をかしげながら兵士は答えた。兵士に言われ、練兵場を見てると、鮮やかに宙を舞う人影が見えた。ナイフを扱ったことのある人間特有の逆手。まさしくそれはAだった。気づいた瞬間、ある違和感に気がつく。

「…ガスを吹かしすぎている」
「…へ？」
「アイツはいつから立体起動を行っていた」
「えー…数分前にはすでに」
「…アイツ！」

リヴァイは、近くの兵士から立体起動を半ば奪い取って行った。いきなり走り出したリヴァイに、多くの兵士が首をかしげた。一方リヴァイは全速力でAを追いかけていた。しかし、いくらガスを吹かしすぎているといっても、全く追い付けなかった。

「クソ…！A！オイ！！」

何度声をかけても聞こえてないかのように、反応していなかった。普通に追いかけていては追い付けないと思ったリヴァイは、賭けに出た。

《プシュ―――ッ》

ガスを一気に吹かせ、距離を詰める。自分のガスがなくなるのが先か、Aが落ちるのが先か――――。

《プシュッ――…》

どこかで嫌な音がした。リヴァイは慌てて自分の立体起動を確認するが、自分のではなかった。つまり、Aのガスが切れたのだ。

「オイ！！」

重力に逆らえずに、真っ逆さまに落ちるAを抱きしめたのと、リヴァイのガスが切れるのは同時だった。かなり上の方から下に向かって落ちていく。リヴァイはAを守るようにして抱きしめた。目をつむり、その時を待つ。だが、いつまでたっても、あるはずの痛みは来なかった。

「…ッ？」
「大丈夫かい？リヴァイ」

目を開けると、ミケとハンジだった。ミケがリヴァイを抱え、ハンジがAを抱えていた。

「…あぁ、助かった」
「まぁ、いいけどさ。それより…」

ハンジはチラッとAの顔を見た。一見すると、ただ気を失っているように見えるが、よく見ると、目が濡れた跡があった。

「…Aも、怖かったんだ」
「…ぁ？」
「あとで説明する」