【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ38)

今日:21 hit、昨日:24 hit、合計:79,195 hit

Blutige Vergangenheit31 ページ38

「憲兵は、僕を捕獲対象とみなした。殺人および窃盗の罪だ。繰り返し行われているからな。さすがに商人に泣きつかれたんだろうよ。まったく、嫌な話だ。おかげで仕事もやりづらい。ここ何か月か、共に行動した奴もいたさ。そいつは皆、僕の仲間だとして捕まり、刑に処された。もう、わかっただろ」
「あぁ、十分だ」
「お前らの仲間には足の悪い奴もいる。そんなお前らの元にいたら、いつか狙われる。そんなの…誰がさせるか…」

Aの目が凶器に満ちたのを見てリヴァイは離れる。目を見開き、歯をかみしめ、腕には異常な力がかかる。皮肉にも、弱い人間を苦しめる人間に対しての怒りがAを鬼へと変えていた。そして、その優しすぎる性格ゆえに、呑まれていた。

「おい、その顔やめろ」
「…っ」

フゥ、と息を吐いて元の顔に戻す。ファーランにリヴァイは目で合図をした。ファーランはAの鎖をほどいた。

「何で…いッ！」

腕に鎖が引っかかり、締め付けた。異常な痛がり方にリヴァイは目を細めた。解放されたと認識したAは離れようとする。だがリヴァイによって捕まる。

「んだよ」
「まだ終わってねぇ」
「…早くしろ」

大人しくAはその場に腰かける。する突然、リヴァイに腕を掴まれた。

「ッ…なにすんだ」
「腕をまくれ」
「は？」

一瞬、顔をそらしたAを見てリヴァイは服の袖を無理やりまくる。すると血でにじんだ包帯に巻かれた腕があった。

「なんだこれは」
「なんでもねぇよ…放せ」
「両手に同じ怪我か？」
「そうだが何か」
「そうか」

何のためらいもなくリヴァイは包帯をとっていく。Aは抵抗せず、ただじっとしていた。もう、すべてを諦めたように。

「っ…なんだそりゃ」
「チッ…やっぱガキじゃねぇか」

ファーランもリヴァイも、それを見て顔をゆがめる。明らかに自分の意思で付けられた無数の腕の傷。深いものもあれば、浅いものもある。まだ新しいものもあった。

「どういう意味だこりゃ」