【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ31)

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Blutige Vergangenheit24 ページ31

「おい…なんだよこれ！」
「わかんないよ！とにかく水で濡らしたタオルを大量に！」

Aが患者のもとについた時には患者が大量にいた。みな、同じ症状だった。

「なんでだよ…おい、息しろ！」
「A」
「いいから息しろ！」
「A、そいつは…もう…」
「うっ…あぁ…あぁぁああああっ…」
「落ち着け！まだお前が救うべき命はあるだろ！」

ファーランが必死に気を取り戻させる。それでも人間が一人死ぬたびに自分を追い込むAにファーランの気も狂いそうだった。

(一度やめた医者なのに…なんでこいつはそこまで命に責任をとっちまうんだ)

ふと、Aを見ると、動きが止まっていた。

「おい、どうし…おい！」

放心状態で目がどこか遠くを見たままだった。必死に揺さぶっても反応がなく、多くの命が消えていった。

「おい！こんなとこで止まってんじゃねぇよ！困ってる人間助けたいんだろ！？」
「ファー…ラン…全員…助からない…」
「何言ってるんだよ！」
「これ…まだ、治し方…わかってない…不治の病…ファーラン…逃げて」
「お前もだろ！」
「僕は…苦しまないようにしてから行く…だから、逃げて」
「おい！」
「行って！」

バッとファーランを突き放す。Aがカバンから取り出したのは、何かの注射器。

「ごめん、僕にはこれしかできない…」
「先生…」
「みんな…ごめん」
「…あり…と…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」

注射を撃つたびに涙がこぼれた。何をされるのかわかった人間は皆、にこやかに笑って死んでいった。

「ごめ…ん…」

最後の一人をみとった時、Aの腕には力が入らなくなっていた。

「あぁあああああああああああああああ」

Aは声がかれるまで叫び続けた。大きく響き渡る悲しき叫びは、その場で生きていたすべての人間の心をえぐった。茫然と立ちすくんでいたファーランのもとに、リヴァイがやってきた。

「ファーラン、どうしたんだ？」
「…アイツ、自分が死なせたことを責めてる。リヴァイ、アイツはもしかしたら俺ら以上に命の重みを知ってるのかもな」
「…あぁ」

何が起こったのか、その惨状を見れば誰もが理解した。最後に、苦しまないようにAは死なせる選択をしたのだ。言い換えれば、殺したのだ。罪なき人々を。

「ごめん…ごめんなさい…」