【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ2)

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Wartime Karriere49 ページ2

「でも、リヴァイに殺されるなら別にいい」

最後に、つぶやくようにAは言った。リヴァイに背を向けると、堪えていた涙があふれてきた。

「…ッ…ヒッ…クッ…」

あふれ出る涙は止まらなかった。リヴァイに自分は殺される存在である。ずっといた、家族みたいなリヴァイに、自分は殺される。自分がいなかったら、と考えてしまう自分が憎かった。涙が止まったころに、ふらふらとナイフを手に持って自分の首にあてがった。

「…ッ―――」

ふと、体が引っ張られて暖かくなる。ガタッという音を立ててナイフが床に落ちた。温もりがリヴァイだと気付いたころには、止まったはずの涙があふれていた。

「…バカなこと…言うんじゃねぇ。お前が自分から死ぬことは許さん。死ぬときは―――俺が殺してやる。だから、それまで…俺から離れるな」
「…っ…ごめん…ごめんっ…」

小さな子供のように泣きじゃくるAを、ただ静かにリヴァイは抱きしめ続けた。

「…『脅威にもなりうる力』…私達にとっては貴重な戦力でも、憲兵や民衆からすれば、脅威そのものだ。リヴァイがAを殺せるから、Aは生かされている。―――あぁ、まったく…世界ってやつは…こんなにも美しく、どこまでも残酷だ…」

扉の前で悲しげな顔をして、ハンジはつぶやいた。報告にやってきたハンジは、リヴァイの部屋についた。扉を開けようとすると、かすかに開いていた。一部始終を聞いていたハンジは、本日二度目のメガネのかけなおしをした。

「とか言ってらんないから入るけど、エルヴィンからの報告聞いた？」
「うわっ！」
「…おいクソメガネ、ノックぐらいしやがれ」

いきなりあらわれたハンジに、驚きながらもリヴァイは的確に突っ込みを入れた。

「…エルヴィンの報告？聞いてねぇが」
「今日、幹部級で会議をやるらしいんだ」
「会議？なんのだ」
「…マリア奪還作戦が、王政で出されたのは聞いたかい？」
「いや」
「約二割相当の住民をマリアに送り込んで、巨人を殲滅させるらしい。…丸腰で」
「…まるで口減らし」

さっきまで泣いていたAの言葉で、一気に空気が重くなる。自分の得しか考えていないような身勝手な王政の考え。それによっていくつの命が消えるのだろうか――――。