【進撃の】☆こちら進撃の短編兵団☆【短編集】 (ページ10)

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その体を抱きしめた (ミカサ独白のようなもの) ページ10

エレンが、巨人に飲み込まれた。
心の拠り所を、失ってしまった気がした。
ミカサ(そんな…)
心ではそう思っていた。でも…
ミカサ「アルミン、落ち着いて。今は感傷的になってる場合じゃない…」
表面上では、強がってしまった。
ミカサ「私は…強い。あなた達より、強い！」
しかも、仲間の前でまた、強がってしまった。
全ては…あの人を失った悲しみや動揺を隠したかったから。
投げやりになっているなんて、悟られたくなかったから。
だから、あのときも…
ミカサ(いい人生だった…)
一度は生きることを諦めた。
…けれどもまた、姿は違うけれど、あの人に助けられた。
そうして、謎の巨人からあの人…エレンが出てきた。
そのとき、私の中の何かが込み上げてきそうになる。
私はすぐにエレンを抱きしめ、胸に耳を当てた。
ドクン、ドクン…と心臓の音が聞こえてきた。
すると、ずっとこらえてきた涙がいっぱい溢れ出てきた。
ふと、あのときのやり取りを思い出す。
ミカサ「待って…！」
エレン「…何だよ」
ミカサ「どうか…死なないで…」
…さらに、涙が止まらなくなった。
ミカサ「エレン…約束を守ってくれて…ありがとう…ありがとう…！」
あのときのやり取りが約束といえなくてもよかった。
とにかく感謝をしたかったから。
思えば私は、エレンにこの世界は残酷で美しい事を、教えてもらった。
そして、二度も私を生き返らせてくれた。
そんなエレンに、私は一体どのようなことができるのだろうか。
守っていくこと？一緒の兵団に入ること？それとも…？
…いいえ、どれでもない。私ができることはただ一つ。
エレンを、信じること。
正確に言えば、エレンとアルミン、2人を信じること。
…私には、これが本当に正しいことなのかわからない。
でも、これからは、3人じゃないと乗り越えられない困難が待ち受けているかもしれない。
だから、私は2人を、もっと信じようと思う。
…どこからか、暖かい風が吹いてくる。
その風は、私たち3人を包んでくれるように思えた。