彼奴に幸あれ ページ41
中也side
「つーか、手前でも振られる事とかあったンだな」
気まずそうに酒を飲み始めた太宰を見て笑う。すると、太宰は此方をじろと睨み、
「あのねぇ中也。誤解しないで欲しいんだけど、私はあの娘以外に振られた事ないよ。あの娘が特別落とし難いんだ。イレギュラーだよ」
むぅっと口を尖らせる。可愛くねえから止めれ。
「ねぇ、君が振られた相手は・・・まぁ大体想像着くけど」
太宰が半笑いで云った。俺は苦々しく答える。
「ああ・・・手前と同じだよ、糞太宰」
太宰は、「だろうね」と少し寂しげに云った。
「というか、私は意外だったのだけど。敦君の元にあの娘を向かわせたのは、君だそうだね?」
何処からそんな情報手に入れて来んだよ此奴は・・・と思ったが、俺は正直に「そうだ」と肯定する。
「本当に、意外な話だよ。私が中也だったら、あの娘の迷いに漬け込んで無理矢理此方を向かせるのに。・・・中也もそうすると思ってたよ」
俺は、「莫迦云え」と呆れ口調で云った。此奴は全然判っちゃいねえ。
「俺が手前と同じ行動を取る訳がねえだろ。そうしたところで、彼奴の為にはならねえよ、彼奴はあの人虎以外目に入っちゃいねえンだから」
「意外と割り切るんだね。私にはとても無理だ」
太宰が、少しだけ自嘲の雰囲気を混ぜて云った。
「割り切れちゃいねえよ、あの人虎の奴に逢ったら、ぶっ飛ばして無理矢理彼奴を諦めさせたい位だ」
「へえ、じゃあ私たちの立場が逆だったら、あの二人は仲直り出来なかったかもね?」
太宰はやや冗談めかして笑った。俺も釣られて少し口角を上げた。
「ま、結局は此れが一番善い結末なんだろうよ。自分の幸せを犠牲にして不器用な餓鬼共の間を結ぶ。大人としちゃ最高じゃねえか?」
「だったら、何でそんな湿っぽい顔してるのさ?」
・・・仕方ねえだろ、大人にゃ成りきれねえし、好きな女の事も諦め切れないンだからよ。
そう云おうとして、止めた。此れ以上彼奴の笑顔の為にした行動を後悔したくは無い。
だから代わりに、俺は杯を掲げた。
「・・・何の真似だい?」
怪訝そうに云った太宰に、「彼奴の未来に乾杯__なんて、してみねえか?」と笑う。
「ふーん、陳腐だけれど・・・まぁ悪くはないね、君にしちゃ」
太宰も薄く笑い、杯を持ち上げた。
ぶつかった杯は、不恰好な音を立てた。
「「日暮Aの未来に、乾杯」」
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☆天香☆ - 蟹江さん» ええええええっ!?(歓喜)蟹江様の作品大好きでいつもいつも笑わせて頂いて居るので、まさかそんな蟹江様が僕の小説を読んで下さるとは思わず、超嬉しいです!語彙力の塊ってそれは貴方様では・・・!?本当に嬉しいです、有難う御座います!更新頑張ります! (2019年11月3日 11時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 貴方様の小説が読みたくて、探してみました(気持ち悪いことして本当にすみません)文才?って云うんですかね語彙力の塊ですね…!?他では見ないような素敵な作品だと思います!更新頑張ってください! (2019年11月2日 20時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - アイさん» こんにちは、コメント有難う御座います!ある意味で思い切りとノリのいい夢主ですよねw万人受けするものを面白く書けない質ですので、新鮮で面白いと言って頂き光栄です!更新頑張ります! (2019年10月20日 20時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - どうもー、天香さんの参加しているイベントの主催者のアイです!まさか、夢主ちゃんが本当に太宰と心中してしまうなんて・・・驚きです!あまりこのような作品は見ないので、新鮮でしたが、とても面白かったです!これからも頑張って! (2019年10月20日 17時) (レス) id: 2d5f8eb3ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2019年10月3日 14時