絶叫 ページ14
「彼奴も貴様の様な目をして居た。上辺だけ謙虚に見せ掛けた傲慢な目だ」
芥川様は、責める様に此方を見た。
『傲慢・・・ですか』
人から其の様に云われたのは初めてで、私はどの様な顔をすれば善いのか判らず、何時も作って居る引きつった微笑を形作った。
「其の表情も気に入らぬ。自分のみが不幸な目に遭って居ると云わんばかりの表情だ・・・愚か者め」
『そんな事__』
ありません、と続けかけて口をつぐんだ。違う、彼の云う通りだ。
悲劇の
「漸く判ったか」
芥川様が、至極呆れた、と云いたげに此方を見た。
「・・・貴様、心中をするらしいな」
『何故御存知なのです?』
上目遣いで聞くと、「中也さんから聞いた」 と簡素な返事が返って来た。
「しかも、太宰さんと__」
彼の瞳が非情な冷たさを宿した。私は誤魔化しが効かないと判って居たので、『事実です』と云った。
黒い旋風が巻き起こった。
芥川様の瞳孔は開き切って、私の事を憎々しげに睨んで居る。
私の胸の寸前に、彼が外套で形作った刃が突き立てられて居る。
「許さぬ__何故だ?何故太宰さんは貴様を選んだ?何故僕の力を認めぬ儘、浮世を去るおつもりだ?何故____」
最後は殆ど絶叫であった。私は芥川様の前で何も云えぬ儘、立ち尽くして居る。
「其処が、貴様の中で最も嫌いな処だ、何故僕の師に認められながら、己が恵まれぬ悲劇の主人公の様な表情が出来る?まるで彼の男の様に___」
芥川様は言葉を切り、刃を懐に戻した。
「貴様の事は殺さぬ。此の激情に任せ貴様を引き裂いたとて彼の人は僕を認めぬ」
永遠にゴールに辿り着けない野良犬の様な目をして居た。
『・・・御免なさい』
呟くと、彼は「謝るな」と泣きそうな声で云った。
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☆天香☆ - 蟹江さん» ええええええっ!?(歓喜)蟹江様の作品大好きでいつもいつも笑わせて頂いて居るので、まさかそんな蟹江様が僕の小説を読んで下さるとは思わず、超嬉しいです!語彙力の塊ってそれは貴方様では・・・!?本当に嬉しいです、有難う御座います!更新頑張ります! (2019年11月3日 11時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 貴方様の小説が読みたくて、探してみました(気持ち悪いことして本当にすみません)文才?って云うんですかね語彙力の塊ですね…!?他では見ないような素敵な作品だと思います!更新頑張ってください! (2019年11月2日 20時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - アイさん» こんにちは、コメント有難う御座います!ある意味で思い切りとノリのいい夢主ですよねw万人受けするものを面白く書けない質ですので、新鮮で面白いと言って頂き光栄です!更新頑張ります! (2019年10月20日 20時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - どうもー、天香さんの参加しているイベントの主催者のアイです!まさか、夢主ちゃんが本当に太宰と心中してしまうなんて・・・驚きです!あまりこのような作品は見ないので、新鮮でしたが、とても面白かったです!これからも頑張って! (2019年10月20日 17時) (レス) id: 2d5f8eb3ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2019年10月3日 14時