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三日月 ページ13

家で、月曜日迄の日数を指折り数えた。




『あと3日・・・か』




一寸だけ遠いな、そう呟いた。




太宰さんは最後に、私の頭を優しく撫でて、転がった傘を拾って、帰って行った。




本当に、あんな優しい人と生涯を終える事が出来る私は幸福者だ。




唯一つ心残りが有るとすれば、君に今迄の馬鹿正直を謝れなかった事______




『・・・止めよう』




太宰さんが居るのに、君の事ばかり考えて仕舞うのは、失礼な事だ。




また君の夢を見て仕舞うかも知れないと思うと、眠りたくなかった。




私は、暫し夜の散歩に出掛ける事とした。



*****



あと一寸で闇と雲に呑み込まれて仕舞いそうな、ギリギリの三日月が私を見て居た。




雨は、家で簡素な夕食を済ませて居る内に止んだらしい。




部屋着の上に薄い外套を羽織っただけの格好で、私は夜の街を歩いた。




向かいから誰かが歩いて来るのが見えた。黒い外套、黒い髪、対照的にも白い肌。




何時も、独りだけ白黒(モノクロ)写真の中に取り残された様だと思って居た青年が、此方へ歩いて来て居た。




『こんばんは』




私は青年に笑いかけた。彼はちらりと此方を一瞥し、




「情報屋の娘か」




吐き捨てる様に云った。




『ええ。お疲れ様です。御仕事帰りですか?_____芥川様』




「嗚呼。(やつがれ)は貴様の様に暇な身分では無いからな、首領襲撃を企てた愚者達を片付けに行って居た」




私が中原様に伝えた情報だ。ポートマフィアは御仕事が早い。




『お疲れ様です』




再度笑みを貼り付けると、芥川様は眉を寄せて私を見た。




「・・・気に食わぬ」




『・・・え?』




私は貼り付けた筈の笑みを思わず引きつらせた。




「貴様は、僕が嫌う男に似ている」





ぼんやりと浮かぶ三日月が薄雲に翳った。

絶叫→←刹那の本音



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☆天香☆ - 蟹江さん» ええええええっ!?(歓喜)蟹江様の作品大好きでいつもいつも笑わせて頂いて居るので、まさかそんな蟹江様が僕の小説を読んで下さるとは思わず、超嬉しいです!語彙力の塊ってそれは貴方様では・・・!?本当に嬉しいです、有難う御座います!更新頑張ります! (2019年11月3日 11時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 貴方様の小説が読みたくて、探してみました(気持ち悪いことして本当にすみません)文才?って云うんですかね語彙力の塊ですね…!?他では見ないような素敵な作品だと思います!更新頑張ってください! (2019年11月2日 20時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - アイさん» こんにちは、コメント有難う御座います!ある意味で思い切りとノリのいい夢主ですよねw万人受けするものを面白く書けない質ですので、新鮮で面白いと言って頂き光栄です!更新頑張ります! (2019年10月20日 20時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - どうもー、天香さんの参加しているイベントの主催者のアイです!まさか、夢主ちゃんが本当に太宰と心中してしまうなんて・・・驚きです!あまりこのような作品は見ないので、新鮮でしたが、とても面白かったです!これからも頑張って! (2019年10月20日 17時) (レス) id: 2d5f8eb3ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/  
作成日時:2019年10月3日 14時

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