第51話 ページ1
.
｢何してるんだ？扉の前で｣
｢…お腹が空いて……まだかなと…｣
｢…ふーん、また逃げようとか馬鹿なことを考えていたのかと思ったよ｣
ゾクッと恐怖で冷や汗が背を流れていく
前に一度、逃げ出そうとしたことがある。
バレた時、両手を縛られ数日は身動きができなかった。
男女の行為でさえ、毎回、両手を縛られる。
泣いても叫んでも解いてはくれない
彼曰く、嫌がるからだと言う。
そりゃ嫌いな人となんて…
思い出すだけで震えが止まらない
至る所に傷と痣だらけ
思い出したくない声が脳裏に響き出す。
………
｢なに泣いてんだよッ｣
｢ッ…嫌だッ……ごめッ…ごめんなさい…｣
｢焦らすなよ｣
その度に
リヴァイさんに会いたい。
そう考える度に自分が嫌になって
リヴァイさん助けて。
そう心の中で叫んでしまう自分を許せなくなる
今頃、何してるだろう。
ペトラさんと挙式の予定でもたてているのだろうか。
どんな結婚式になるんだろう…
きっと素敵な……幸せそうに微笑んでいる
私が居なくなって、幸せに過ごしているんだろう
きっと、私はエレンが見つけて助けてくれる
ただ今は我慢しよう。耐えよう
｢またアイツのこと考えてんだろ｣
｢ッ…｣
｢なぁ？お前は誰のものだよ｣
｢……あなたのです｣
｢…今夜は忙しくなりそうだな｣
｢ちがッ…本当にリヴァイさんのことはッ…｣
｢その名前を口にするなと言っただろ。そんなに俺に愛されるのが嫌？傷つくな｣
するりと腰に手がまわされ、頬にキスされる。
胸を押しても、顔を逸らし逃げてみても無駄だ
｢また目を閉じれば？｣
彼の大きな手が目元を覆いかぶさり、
何も見えずに目の前は真っ暗になる
そして彼はいつものようにこう呟くのだ
｢目を閉じて、俺をリヴァイだと思い込めばいい｣
｢ッ……｣
そう言って口づけをおとす。
私が口にするのは許されない名前、
それを彼は平気で口にする。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - 途中からずっと泣いてましたwwはてなさんの作品読ませてもらってとても感動しました。ほんとにありがとうございます。 (2021年5月23日 21時) (
レス) id: 927c3428d3 (このIDを非表示/違反報告)
はてな(?)(プロフ) - さき。さん» ご観覧、ご感想ありがとうございます。感動して頂けて凄く嬉しいです！私も、さき。様の言葉に泣きました…。本当にありがとうございます。 (2021年4月15日 18時) (レス) id: 2bed4e8e7b (このIDを非表示/違反報告)
さき。(プロフ) - すごく好きです…！悲しく、苦しい恋もありながら、とても綺麗な終わり方で…思わず泣きました…。こんな素晴らしい作品に出会えたことを嬉しく思います！！！ (2021年3月9日 23時) (レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
