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私いじめられています、と声高に訴えるほどの実害は今のところ加えられていない。
それでも、自分に好意的ではない人間の言葉や態度は受け取って気持ちいいものではないし、無視したくても出来る関係ではないのが非常に厄介だった。
「……あっ！」
「ちょっと、瑠璃川！」
また怒鳴られた。けれど今回は私が悪かった。
ミスショットをしてボールが練習場を囲むフェンスを越えていってしまったからだ。
「早く拾ってきなよね」
隣で練習していた同級生──2年生側の子だ──の刺々しい物言いを背中に受けながら、急いでボールを拾いに行く。
フェンスの向こう側はプールの更衣室の裏に面している。通行人はほとんど居ない場所だが、万が一誰かに当たっていたり、物を壊していたりしたら……と考えて冷や汗をかきながら向かった。
練習場からフェンスの向こう側に行くためにはかなり遠回りしなくていけない。転がっていったボールを見つけて、拾って、戻ってくるのが遅ければまた何か小言を言われてしまう。
急げ急げとダッシュをして、やっとプールの更衣室の前についた。
パッと辺りを見渡すが、見つからない。
「どうしよう」
百歩譲って2年生に私がねちねちと小言を言われるだけなら別にいい。
それを聞いた3年生が2年生を咎めて、でも2年生は舌打ちをしたり無視したり、両陣営の1年生も(流石に表立って先輩たちの悪口なんて言えないから)貝のように黙ってただ時が過ぎるのを待つ、そんな空間。
その始動役に自分がなってしまうなんて──。
「っ、ボール……」
そんなの嫌だ、嫌だ、嫌だ。
こんな時間がこれからもずっと続くのかな、とか。
テニスよりも人の顔色伺うことが部活でやることなのかな、とか。
でも何も自分に出来ることなんて何も無いから、……そんな風に何もしようとしない言い訳をずっとし続けてる自分とか。
全部嫌になって今にも泣きそうな気持ちになって、それでもボールは見つからなくて。
「……、うっ」
とうとう零れた涙を拭う暇ももったいなくて必死に探していると、背後からじゃり、と砂を踏む音がして、弾かれたように振り返った。
灰がかった作業着の男性が立っていた、そしてその手には目当てのテニスボールが握られていた。
「これか？」
あった、と目を見開いてお礼を言わなきゃ、とその人の顔にようやく目を移した。
目が合う。
──ぱち。
その時、火花が飛んだ。そんな気がした。
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カルタ - めっちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください(^^)d (11月8日 4時) (
レス) id: c6ac64a5c2 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - aikaさん» コメントありがとうございます。いつか出ます。私生活多忙のため更新停止しておりますが、完結までさせるつもりはあります。読んで頂きありがとうございます。 (11月6日 22時) (レス) id: 47b3da0d46 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ぬまひとさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります。励みになります。 (11月6日 22時) (レス) id: 47b3da0d46 (このIDを非表示/違反報告)
aika(プロフ) - コメント失礼します。このお話の続きは出ますかね…。続きがとても気になります! (9月24日 22時) (レス) @page12 id: 7afaae3635 (このIDを非表示/違反報告)
ぬまひと(プロフ) - 初コメ失礼します！めっちゃ好きです！続きが、気になります(^^♪更新頑張ってください！ (2023年1月16日 4時) (レス) @page12 id: bada61d4bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚音
| 作成日時：2020年11月27日 23時
