興味のないフリをして (ページ10)

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尚大「もう大丈夫じゃない？」

尚大はそう言うと手をパッと離した。

なんだか少し、寂しくなった。

『尚大、あのね…さっきの人は』

尚大「言わなくていいよ」

なんでも言わなきゃ、そう思ったから言おうと思ったのに尚大は優しい顔でそう言った。

『なんで？』

尚大「俺も傷つきたくないんだよね」

『え？』

尚大「俺さ、初めて見た時からかな渉に紹介されてからずっとAのこと好きだよ。

まぁ、それも分かっててAは遊んでるんだろうけどさ。」

なんて返せばいいのかよく分からなかった。

尚大「Aから連絡来てびっくりしちゃった。

Aは絶対彼氏はいてもその彼氏のモノになる訳でもなくて、そうやっていつまでもフラフラしてると思ってたから…

というより、そうして欲しかった。

切られるのがいちばん怖い。

どんな形でもいいからAと離れたくない。」

そして私をギュッと抱きしめた。

なんでだろうか、自然と涙が出てきた。

私が傷つけてるのに。

私ってもしかして、

尚大「でも、Aがもう決めたなら会わないし連絡先も消すよ。

元に戻ろうか、お互い友達の彼女と彼氏の友達に。」

私の目から溢れ出てる涙を手で拭ってくれた。

そしてスマホを取り出して、尚大は私のアカウントをブロックして削除してるのを見せた。

尚大「A今までありがとう、渉は良い奴だよ。

ちゃんと幸せにしてね。

幸せになってね。

今度さっきの男みたいなのがいたら渉はきっと守ってくれるよ。」

尚大はそう言って歩いて行った。

もう彼が私を見てくれるのはこれが最後なのかもしれない。

今更気づいたって遅かった。

私の好きな人は尚大だったんだ。

他の男よりも無意識に会う回数を多くしてたのも、渉に会ったら好きじゃないって気づいてしまうから会わなかったんだ。

『好き…』

遠くを歩いていく尚大の背中にそう言っても聞こえるはずなくてただただ、その背中を見つめることしか出来なかった。

今日はもう大学なんて行く気になれない。

家に帰ろう。