興味のないフリをして (ページ3)

今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:7,436 hit

-3- ページ3

朝、目が覚めるとほんのりとAの吸っているタバコの香りがした。

甘い香りのタバコじゃなくて、普通のよくあるタバコの臭い匂い。

タバコなんて吸わないし嫌いだし最初は外ですって貰っていたけど、なんだかだんだん落ち着く香りになっていた。

Aの吸ってる姿もなんだか好きだった。

『あれ？尚大起きたなら言ってよ〜！

ずっと見つめられてたら恥ずかしいんだけど！』

尚大「ごめんごめん。

おはよう、今何時？」

『今はね〜…

9時だよ！』

尚大「9時か〜…朝なんか食べる？」

『あーなんかコンビニで買ってくるよ。

これでタバコも切れたから買ってこなきゃ。

尚大はなんかいる？』

尚大「俺はいいや〜。

もう少し寝る。」

1度身体を起こしたけどもう一度横になってAを眺めた。

タバコを吸い終わって灰皿に擦り付けたら、服を着始める。

華奢で綺麗な背中。

白くて透明感のある綺麗な肌。

全部自分だけのものにしたいのに。

『じゃあ行ってくるね。』

尚大「うん、気をつけて。」

本当は一緒にコンビニについて行きたいところだけど、一応アイドルな訳でそんな事は出来ない。

そもそも、俺は彼氏じゃない。

Aも外を一緒に出歩くのはきっと嫌だろう。

渉より先に出会ってたら俺の事選んでくれてたのかななんて、でもなんで浮気なんかするんだろう。

Aはやっぱり掴めない。

そもそもよく考えてみれば年齢が歳上だと言うことは知ってるけどそれ以外は何をしてるのかよく知らない。

学生なのか社会人なのかもしらない。

おそらく都内かその近郊には住んでいるんだろうけど、それ以上は何も知らない。

LINEしか連絡先も知らないしLINEを消されたりブロックされてしまえばもう連絡を取るのも、会うのもできない。

所詮その程度の関係でしかないのだ。

．

『じゃあまたね！』

あの後コンビニから帰ってきて、午後からは予定が入ったらしくそそくさと帰って行った。

チラッと見えたトーク画面を見る限り他の男かな。

灰皿の中の吸殻を捨てて考える。

これ以上Aのことを素人踏み込むのは良くない。

Aのことが好きな限り、切られない限り、何も聞かず触れずこのままでいよう。