その1 ページ1
「ふざけんなまじで」
同棲中の恋人はそう吐き捨てるように言い残し、大きなキャリーケースと共にこの家を出て行った
恨みを込めるかのように勢いよく閉められた玄関のドアを唖然と見つめながら、パンツ一枚でその場に立ち尽くす俺を、籠の中のイモリは馬鹿にしたようにじっと眺めている
そもそも、ことの発端は恋人に届いた1通のメールである
明日俺たちは久方ぶりにお互いの休暇が被り、俺は湯船に浸かりながら、先にベッドで待っているであろう恋人の姿を想像し楽しんでいた
要は、久しぶりにえっちな雰囲気になっていた。約1ヶ月ぶり、ともすればそれ以上だ
脱衣所のカゴから適当なパンツを見繕って、ルンルンと心躍らせながら寝室に向かうと、美人の恋人が少しの恥ずかしさを滲ませながらいつものようにベッドに誘い入れてくれる
……はずだった
「A、これなに？」
絶対零度の低音と共に突きつけられた彼のスマホ、そこに流れる動画に、おれは絶句した
「な、なんで……」
楽しげに会話をしながら、夜の街を歩く男女。2人はピッタリと密着し、千鳥足の男の腕を引っ張るように、女の腕が絡められている
動画の最後には、趣味の悪いホテルに2人並んで入っていく姿がバッチリ収められていた
後ろ姿のみで顔は写っていないが、なんとなく既視感、というより、馴染みのようなものを感じる背中である
いや、てかこれ……
「お前だよな？」
「俺ですね」
平坦な声色で尋ねてくる恋人に、俺は蚊の鳴くような声でそう返すのがやっとだった
動画の送り主はどうやら彼の女友達のようで、『あんたら別れたの？』『別れてないよ』『此間カレシ女とホテル入ってたよ』という短いやり取りの後に送られていた
「いや、それはなんつーか……飲み会の帰りで……」
ドンドンとけたたましく鳴る心臓を、なんとか悟られまいと言葉を探す
そもそも俺がここまで焦っているのは、その動画に少なからず、というより大分後ろめたい事実があるからで、まぁ要は誤解とか、彼の早とちりとかでは全然なく、ガッツリ他の人間と一夜を共にしてしまった。その証拠を突きつけられ、どうにか誤魔化せないかと思考している最中である
「やったの？」
「え？」
「だから、この女とセッくすしたのかって聞いてんの！」
「……し、」
「し？」
「しました……」
俺は嘘がつけない男である
「死ねば」
彼はそう言って、キャリーケースの中にさっさと荷物を詰め始めた
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パパゴラス - コメント失礼します！めっちゃ好きなタイプですほんまにおもろいです。これからも頑張ってください！マジファンになっちゃぃましたぁぁ！！！ (2020年5月17日 0時) (
レス) id: 665c1b4e56 (このIDを非表示/違反報告)
sumiko(プロフ) - 早く、悠さんの生のご意見を聞きたいです。(≧◇≦) (2020年5月16日 19時) (レス) id: bbba9ad9a6 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - なんだか、めっちゃ好きなんですけど…ww頑張ってください！ (2020年5月16日 14時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 好き(唐突)頑張ってください!応援してます！ (2020年5月12日 12時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんじゃらほいほい | 作成日時：2020年5月11日 18時
