その2 ページ2
「うわああぁん!!もう終わった!捨てられた!!」
ガツンとグラスをテーブルに叩きつけ、これでもかと項垂れる俺に、友人の康介は面倒そうにため息をついた
「うるせぇなぁ、仕方ねぇだろ。おめぇがわりぃんだろ?あ、お姉さん、ハイボール!」
「悪いよ!十中八九、いやなにもかも俺が悪いよ!だからこんなことになってんだろ!?じゃなきゃあんなに怒んねぇよ!!」
「ちょ、お前……泣くなよ」
酒が入っているわけでもないのに、自分がコントロールできなくて、ポロポロと流れ出る涙を抑えることができない
周りの客の視線を気にかける余裕もなく、溜め込んだものがワッと溢れ出した
「飲めよ、飲まねぇとやってらんねぇだろ」
ズイっと飲みかけのビールを差し出されるが、それをまた押し返す
「いらねぇ、烏龍茶でいい」
「ほんとに一滴も飲んでねぇけど、大丈夫かよ」
「俺もう、酒で失敗したくない」
そう言うと、康介はフッと口元を緩め、「いいやつなんだけどな、お前」とため息混じりに呟いた
「そんなんじゃねぇよ……ただ2度目はないから」
「へぇ、許してもらえると思ってんだ?」
「うっ……お前!慰めるか突き放すかどっちかにしろよ!」
「ハハハ」
康介は基本、俺を弄って面白がっている節がある。でもいつも本当には見捨てないでいてくれるから、こいつには何でも話せてしまう
「康介〜、俺、悠にどうしたら許してもらえるかな」
「謝りゃいいだろうが」
「何回も謝ってんだよ?でも既読つかない……ルイルイの飼い方まとめた資料が送られてきて、それから音沙汰なし。あ、ルイルイってうちで飼ってるヤモリな」
どこにいるかもわかんねぇし、そう呟いた俺に、康介がなにかを思い出したように、あ、と声を上げる
「なんだよ」
「そういや、俺悠の居場所知ってるよ」
まるで、「ああ、あの先生なら職員室だよ」みたいなトーンで言うから、お互いに見つめ合うだけの時間が何秒か続いて、俺は弾かれたように席を立った
「ちょ、おまっ、早く言えよ!」
「わりわり、そいや近藤の家にしばらく世話になるって俺に連絡寄越してたなと思って」
「はぁ!?」
その名前に、テーブルから身を乗り出して康介に詰め寄る
「なんで近藤なんだよ!」
「知らねぇよ」
「あいつ悠のこと狙ってたんだぞ!?危ねぇだろうが!」
「あてつけじゃねぇの?お前への」
こりゃ相当怒ってんな、そう言って笑う康介の声が、頭の中でやまびこのように響いていた
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パパゴラス - コメント失礼します!めっちゃ好きなタイプですほんまにおもろいです。これからも頑張ってください!マジファンになっちゃぃましたぁぁ!!! (2020年5月17日 0時) (レス) id: 665c1b4e56 (このIDを非表示/違反報告)
sumiko(プロフ) - 早く、悠さんの生のご意見を聞きたいです。(≧◇≦) (2020年5月16日 19時) (レス) id: bbba9ad9a6 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - なんだか、めっちゃ好きなんですけど…ww頑張ってください! (2020年5月16日 14時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 好き(唐突)頑張ってください!応援してます! (2020年5月12日 12時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なんじゃらほいほい | 作成日時:2020年5月11日 18時