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「やっ、いや、いいよ……私も飲んでないから…ほ、ほんとに、いいから」
「そういう事じゃねェ、女一人でこの時間歩かせる方が問題だって言ってんだわ、乗れ」
「や、」
「乗 れ」
「は、はぃ」
なるべく目線を合わせないようにしどろもどろに話すも、結局押し負けて不死川の車で送ってもらうことに。何という失態だ、死 にたい。
私がしのぶを担ぎ、不死川が義勇を担いで軽車の後座席に押し込む。すぴすぴと眠ってしまっていて起きる気配は無し。
「近い順に降ろしてっか。Aお前んちどこだ」
「ひ、ひぇ…わたしは、駅で」
「どこだァ」
「………〇〇駅の……△△町…3丁目の20-3のアパート……」
「りょーかい、早く乗れ」
助手席におずおずと乗ると、不死川は車を出した。
免許、持ってるんだなあ…。車も。
「寝てても良いからなァ、着いたら起こしてやる」
落ち着かなくてこんなん寝れる訳ない。
不死川の独り言のようになって、再び沈黙になった。
ほんとやだ、何この空間。逃げたい。
交差点の信号待ちでチッカチッカとウインカーの音だけが車内に響く。
私は縮こまって不死川を見ないように窓の景色をひたすら眺めてた。ただ、暗い夜道なだけなのに。
「元気してたかァ」
「!?」
「おい無視すんな。ちまちま逃げやがって、どういうつもりか知らねーけど」
「………べ…つに…」
「進学先一緒にだったとはなァ。俺はそのまま実家暮らしだぜ」
「………そう、ですか……」
「んでそんなに他人行儀なんだよ。つか、声ちっせぇそんなんじゃなかっただろ」
「…………」
あんたには、関係ない。
そんな気持ちで窓の外を見続けていると窓の反射越しに、こちらに目線が来てるのに気付いた。
「高2ぐらいから可笑しくなったよな、お前。大学はずーっと宇髄とつるんでんのな」
「………ちがう…宇髄が勝手に……」
「そーかよ。あからさまに俺の事避けやがって」
「…………」
「無視すんなァ」
はぁ、とため息をつかれる。ため息つきたいのはこっちの台詞だよ。
「俺、お前になんかしたかァ?」
「……………さーね、」
「あ?さーねじゃねえだろォ、あんだけあからさまにしやがって答えろォ」
食い下がってしつこい不死川に段々苛立ちが募る。
「うるさいなぁ、関係な─────」
顎を掴まれて無理矢理不死川と目が合う。
真っ直ぐ射抜かれる。
「………関係ないなら無視すんな」
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ふぐひらめ - はぁああぁ……最高……(溢れ出る幸せ) (2021年12月5日 22時) (レス) @page21 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
星空 - 続きが気になる!更新頑張って下さい! (2021年3月5日 8時) (レス) id: 8e029f144e (このIDを非表示/違反報告)
あゆゆ - ぎゃぁぁぁぁっっ!!え、死ぬんだけど笑笑実弥が一番好きなのでもう心臓もげそう笑続きめちゃ気になるー!!更新頑張って下さい! (2020年11月28日 1時) (レス) id: b8364d44bb (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - 花さん» 小鳥ちゃんの愛称で呼んで頂けて嬉しいです…!ツンデレ小動物小鳥ちゃんこれからも宜しくお願いします! (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - おはぎとだんごさん» 嬉しいです…(号泣) (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷雨 | 作成日時:2020年11月10日 13時