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▲4文字目 ページ5

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「ってぇ!?!」



授業終了後、真っ先に隣の宇髄を強烈なデコピンで起こした。




「なにすんだよ!痛え!」

「なにはこっちの台詞だよ!なんで寝てたの…!こんな時に!」



私の動揺の仕方に、「なんかあったのか?」と直ぐに冷静になる宇髄。



授業中、何があったのかを話すと「あー…それは災難、だな。悪かったって」とポンポンと頭を撫でて慰めてくれた。


等の消しゴム落とした張本人は授業が終わると「さーねみん!」とまた女子の塊と一緒に教室から掃けていった。



「消しゴム、渡せたんだろ?ちゃんと」

「……死ぬかと思ったんだよ…?ほんとに、心臓に、悪くて、どうしようって…」

「おうよ」

「………でも消しゴム無いと困ると思って、それで…」

「おうおう」




Aはやさしーな、と優しい笑顔で励まされる。そんな宇髄の顔に私は泣きそうになってしまった。うるりと涙が溜まる。ぎょっとした宇髄は「大丈夫だから!な!今回だけだわ!絶対!」と自身が着ているパーカーの裾を私の目元に押し当ててくる。




「…………でもよぉ、」

「………?」

「Aは不死川の幼馴染なんだろ?」

「…………ッ、」

「やっぱり俺には不思議に思えちまうのな、たまに。どうしてそんなに怖がってんのかって」






不死川は俺のダチだからな、と宇髄は言う。



「俺にとっては高校の時から馬鹿やって今も仲が良いダチなんだわ。Aにとっては嫌な相手かもしんねーけど」

「…………うん」

「Aは思わないのか?」

「なにを……?」





不死川と仲良くしてえ、って






その言葉を聞いた瞬間咄嗟に宇髄をキッと睨んでしまった。




「……あー…悪い悪い、ちげえよ。お前を突き放すつもりじゃねえ。ほんとにたまに疑問なんだ。ほんで、昔みたいに、戻れたらって」

「…………」

「分かってるよ、んな事出来てたらとっくにこんなの終わってるってな。分かってるから、ちゃんと。だから気にすんな」

「……………ごめん」





本日二回目の宇髄への謝罪。







昔みたいに、戻れたら。





宇髄の言葉がしがらみのようにへばりつく。


そう、出来たのなら。

一度くらいは私だって考えたことはある。






だけど、そう出来ないのが現状で、





あの男を前にすると身体が本能的に硬直して拒否してしまう。嫌だ、駄目だと、警鐘が鳴るのだ。









この、閉ざされた心をどう溶かしたらいいのか、




私にも、わからないの。

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ふぐひらめ - はぁああぁ……最高……(溢れ出る幸せ) (2021年12月5日 22時) (レス) @page21 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
星空 - 続きが気になる!更新頑張って下さい! (2021年3月5日 8時) (レス) id: 8e029f144e (このIDを非表示/違反報告)
あゆゆ - ぎゃぁぁぁぁっっ!!え、死ぬんだけど笑笑実弥が一番好きなのでもう心臓もげそう笑続きめちゃ気になるー!!更新頑張って下さい! (2020年11月28日 1時) (レス) id: b8364d44bb (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - 花さん» 小鳥ちゃんの愛称で呼んで頂けて嬉しいです…!ツンデレ小動物小鳥ちゃんこれからも宜しくお願いします! (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - おはぎとだんごさん» 嬉しいです…(号泣) (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷雨 | 作成日時:2020年11月10日 13時

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