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お風呂から上がったら、"いた"。
食べたら帰っていいって言った筈なのに、座ってスマホ弄りながら、いた。
「帰って無かったの…?」
「あ?お前風呂入ってただろーがァ。俺が帰ったら誰鍵閉めんだよ」
「あ………」
「あじゃねえよ…お前大学生の女だろ…」
と、呆れたような顔をされたのでなんだか腹立って「べつに関係ないし」と言ってやった。
流し台を見れば、私の食べた皿も一緒に洗われてあった。洗っといてくれたのか。
「お皿、ありがと」
「おう」
冷蔵庫から、貰ったアップルパイを出してきた。お風呂上がりに、お楽しみに食べようと思っていたのだ。
スマホをいじる不死川の向かいに座って、タッパーを開ける。美味しそうなシナモンの香りが鼻をくすぐった。アップルパイを食べながら、私もスマホを眺めた。LINEを返したり、Instagramを見たりしている。
最近Instagramを始めた機械音痴代表、義勇のブレブレの手しか映ってないストーリーを見て、ふっと笑ってしまった。
他にも、煉獄の瓜ふたつ顔そっくりな弟くんがご飯を食べているだけのストーリーや、伊黒の蜜璃が食べているだけのストーリー。匂わせすんな、いい加減付き合えばいいのに。
友達の投稿にさらっと目を通していると、目の前から痛いほどの視線。
スマホ弄ってるフリして、途中から私に視線が向いていることは気付いてた。
はあ…と溜息をつくと、「なに、さっきから」と釘を差す。私が気付いていると思っていなかったのか、不死川は肩をビクリと震わせた。
「………なんも、言わねえのなと思って」
「なにが…?」
「てっきりもっと帰れ帰れって言われるもんだと思ってたからよォ」
「ああ…。そのうち適当に帰るだろうと思って。放っといてた」
そう言ってまたアップルパイをひとくち口に含むと、パシャリと音がした。
目の前にはスマホを構えている不死川。
「なにしてんの……」
「お袋に送ってやるのと、ストーリーにでもあげるかと思って」
「ストーリーはやめて、絶対やめて。それは許さない」
「そんなに嫌かァ」
「嫌。あんたがここにいる事よりも嫌」
「わーった…しねェよ」
渋々スマホをしまった不死川。
そこから何をする訳でもなく、私がアップルパイを食べているのひたすら見てくる。
気付かないフリをしたいけど、痛いほどに視線が刺さるからそうも出来ない。
「………だから何なのさ、人の事まじまじ見て」
家なのに、居心地が悪い。
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ふぐひらめ - はぁああぁ……最高……(溢れ出る幸せ) (2021年12月5日 22時) (レス) @page21 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
星空 - 続きが気になる!更新頑張って下さい! (2021年3月5日 8時) (レス) id: 8e029f144e (このIDを非表示/違反報告)
あゆゆ - ぎゃぁぁぁぁっっ!!え、死ぬんだけど笑笑実弥が一番好きなのでもう心臓もげそう笑続きめちゃ気になるー!!更新頑張って下さい! (2020年11月28日 1時) (レス) id: b8364d44bb (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - 花さん» 小鳥ちゃんの愛称で呼んで頂けて嬉しいです…!ツンデレ小動物小鳥ちゃんこれからも宜しくお願いします! (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - おはぎとだんごさん» 嬉しいです…(号泣) (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷雨 | 作成日時:2020年11月10日 13時