△9文字目 ページ11
.
返答に困っていると、パッと手は離され車が動いた。
(びっっくりしたぁ………)
「胡蝶の家確かこの辺だったな」
もう全然話しが入ってこない。
触れられた顎と久々の至近距離と色々とキャパオーバーだ。
なんだか可笑しくなりそうで、もうこれ以上話したくないと目を瞑った。
寝てることにしよう。
───────────────────
────────────
───
胡蝶を起こし、よたよたとしながらも彼女は家に入っていった。つぎは冨岡かァ。
運転席に戻れば、助手席にはあどけない顔で眠るA。寝てんのか。
さっきまでひたすらボーッと窓の方向いてた癖に簡単に寝やがった。
まあ1杯くらいは飲んでたみてえだし無理ねえか。
「…………何年ぶりだァ」
こいつとまともに会話をしたのは。
これを逃したらもう無いと思った。
高校のある時からぱったり話さなくなってしまった幼馴染。というよりかは一方的に離されてしまった。
それまではずっと腐れ縁というほどに一緒に居たのに。
大学が同じだったのも正直キャンパスで出くわすまで知らなかった。学科が同じで講義が被ってるのも。それでもたまに会うと、こいつは宇髄を連れて俺を無視する。
声をかけようとしても、その隙すら与えさせてくれない。
だからそんなAがこの飲み会の誘いに乗ったのは正直驚いた。席は一番遠いところに座られたけど、ちらちらと盗み見てれば案外元気そうにしてるのは分かった。甘露寺や胡蝶と楽しげに話していた。
やっぱり、離されてるのは俺だけだ。
こいつの大学も知らなくて、学科も知らなくて、一人暮らし始めたのだってこいつの母さんにたまたま出会わなきゃ聞かなかった話だ。
現状、今はじめて住所を聞いた。
「……何なんだァ、まじで」
こいつの考えてる事がさっぱり分からない。
宇髄づてに聞いてるのはこいつは俺のことを「不死川」と呼ぶらしい。他人行儀だ。
昔は実弥、実弥ってぴょこぴょこ付き纏ってたくせにな。
『さねみ!一緒にかえろ!』
いつから俺の前で笑わなくなったんだろうか。
くしゃっと弾けるようなこいつの笑顔が好きだったのに。
優しさが、仕草が、
「好きだけどなァ…?」
ちらりと、隣を見る。
俺の前で変わってしまった彼女の理由が知りたい。
そして、ずっと壊せなかった想いを。
進めなかった想いを。
伝えさせてほしいと思うのだ。
855人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふぐひらめ - はぁああぁ……最高……(溢れ出る幸せ) (2021年12月5日 22時) (レス) @page21 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
星空 - 続きが気になる!更新頑張って下さい! (2021年3月5日 8時) (レス) id: 8e029f144e (このIDを非表示/違反報告)
あゆゆ - ぎゃぁぁぁぁっっ!!え、死ぬんだけど笑笑実弥が一番好きなのでもう心臓もげそう笑続きめちゃ気になるー!!更新頑張って下さい! (2020年11月28日 1時) (レス) id: b8364d44bb (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - 花さん» 小鳥ちゃんの愛称で呼んで頂けて嬉しいです…!ツンデレ小動物小鳥ちゃんこれからも宜しくお願いします! (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - おはぎとだんごさん» 嬉しいです…(号泣) (2020年11月20日 22時) (レス) id: d7b92a39ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:氷雨 | 作成日時:2020年11月10日 13時