［あほの坂田。］仔犬拾いました。~another story~ (ページ34)

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# 34 ページ34

朝になって
のそのそとリビングに向かうと
机の上に朝ごはんが綺麗に並べられている

そして、ラップをかけられたお皿の上に小さな紙切れも。

* 朝メシ。これ食って元気だして、ちゃんと仲直りしろよ *

隣にはたぬきの絵
ふ、と笑みがこぼれる。
まだあったかいご飯のラップを取って箸を出して

「いただきます」

…うま。やっぱ料理うまいなぁ

でも

Aの手料理食べたいなぁ

名前を浮かべるだけではぁ、とため息がこぼれる
空になった皿を片付けていても、そのため息は止まることは無く

ドアの鍵を閉めて、郵便ポストに鍵を入れて
道を歩いている間もため息はやっぱり止まらない

…あぁ、今日まだ平日か。

帰ってもAはいない
7時まで待たないと、あいつは帰ってこない
どこかふつふつと浮かぶ安堵感と罪悪感

「シュミレーションしとかな…」

しっかり言葉を考えて
ちゃんとごめんなさいを伝えないと。

いつの間にか着いていた見慣れたアパートの前
部屋の鍵は開いていて

「……おるんかよ」

ゆっくりと、ドアを開ける。

「…A？」