男子校の中に、1人女とか大丈夫なんですか？【twst】 (ページ22)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:49,851 hit

なんでもない日とはページ22

You side

((ﾋｮｺｯ

キッチンを覗いた。

貴『トレイ先輩…』

ト「お、お帰り。手伝いに来てくれたのか？」

貴『はい…一通り、お菓子作りは出来るので…何しましょう？』

ト「そうだな…じゃあフルーツの下ごしらえと、クリーム頼めるか？」

貴『はいっ…グリム、手伝ってくれる？』

グ「おぅ!!」

((ｼｭﾙｯ

ユニーク魔法でエプロンを出し、腰に手を回しリボン結びにする。

貴『よしっ…』

袖を捲り、ナイフを手に取った。

貴『ふぅ…先輩、終わりました』

フルーツは均等に、クリームはツノが立っていた。

ト「ありがとう。もう少しで生地が焼き上がるぞ」

貴『…楽しみ、ですね((ﾆｺｯ』

ト「ﾊﾊｯ、そうだな」

先輩があんなに笑ってるの、初めて見る…かも。

ト「なぁ、A」

貴『…はい？』

ト「お前が倒れた時の事、教えてくれないか？」

((ﾄﾞｸﾝ

胸がザワついた。

貴『す、すみません…今はまだ…言えません…その…怖くて…』

ト「…そうか。怖がらせたな」

先輩は、私の震える手を優しく包み込んだ。

貴『私自身…現実を、受け入れられなくて…でも…いつかは話します』

4年前のちょうど今頃…

その時から私の人生は大きく変わったんだ。

貴『…出来た』

ト「ありがとう。Aがいてくれたから、予定より早くできた」

ズラリと並んだたくさんのタルト。

どれも赤いイチゴが乗った、とても美味しそうなものだ。

貴『とても美味しそう…』

ト「明後日のパーティに使うから、たくさん作らないといけないんだ。明後日は【なんでもない日】だからな」

なんでもない日…？

貴『なんでもない日…って何ですか』

ト「なんでもない日っていうのは、誰の誕生日でもない【普通の日】を祝うんだ」

…寮の伝統的なものなのかな。

ト「そういえば、Aは誕生日いつだ？」

貴『私は…12月24日です…ちょうど、ホリデーと被ってしまうんです…』

ト「そうか。なら、前日に祝おう。リドルと相談してみるよ」

貴『ありがとう…ございます』

家族以外に誕生日を祝ってもらえるなんて…初めてだ。

ト「よし、もう遅いから片付けは俺がやっておく。部屋に戻ってていいぞ」

貴『…お気遣い、ありがとう…ございます…では失礼します』

((ｺﾂ…ｺﾂ…

廊下をグリムと歩く。

グ「オレ様、腹が減ったんだゾ…」

貴『ﾌﾌｯ…よく食べるね』

軽く談笑しながら、部屋へ向かう。

「あれ〜？噂の新入生ちゃんじゃ〜ん」

…嫌な予感。