弟だけれど３ ページ5
(side.M)
「大丈夫？落ち着いた？」
「うん」
温かいハーブティーが入ったコップをことりと起き、体を丸める翔くんの隣に腰掛ける。
「･･･ごめん」
「なんで翔くんが謝るの。謝らなきゃいけないのは俺の方だよ。もっと早く探しに行ってれば･･･ほんと、ごめんね」
「何言ってんの。助けてくれたじゃん。あの時松潤が来てくれなかったら俺っ･･･」
膝をぎゅっと抱え込む翔くんの背中を、優しく擦る。
.
翔くんを襲った彼は最近新しく入ったADだった。翔くんのファンだったらしく、この業界に足を踏み入れたのも翔くんに会うためだったらしい。
もちろん嵐ファンにも男性はいる。だが、彼の愛情は次第に形を変え歪んでいき、あんな行為に辿り着いてしまった。
最近、翔くんが感じていた視線の正体も彼だった。翔くんへのストーカー行為を日々繰り返していたらしい。
今日の撮影で、初めて翔くんがいる現場で仕事をすることになった彼は、我慢できず翔くんに手を出そうとしてしまったようだ。
彼は自らの足で警察に行き、この事は大事にはせず一部の関係者内で密かに処理され
このまま翔くんを一人で帰すのは心配だったから、そのまま俺の家に来てもらった。
「ありがとう」
「うん。無事で良かった」
にこりと笑えば、翔くんも少しだけど笑ってくれて。
そして、すごく優しい目をしてまた微笑んだ。
「いつの間にか大きくなったね。さっき、助けに来てくれた時ふと思った」
「えっ？俺が？」
「そ、松潤が。昔はあんなにガキんちょだったのに、男らしくなっちゃって」
「そりゃあまあ、あれからだいぶ歳とったからねぇ」
「おじさんになったもんな」
「翔くんもね」
二人でふふっと顔を見合わせて笑い合う。
.
.
.
「･･･もう、弟じゃないからね」
「うん。分かってるよ」
そう言いながら、俺の頭をくしゃっと撫でた。
なんだよ、結局弟扱いしてんじゃん。
でも、まあ
これはこれで、嬉しいけどね。
END
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作者名：スイミー | 作成日時：2021年1月11日 23時
