06/親友と家族と ページ6
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「君がそれはもう熱い視線でちよこれいとケーキを見つめていたからと───」
松陽の言葉を思い出してはニヤけるA。
を、目の前にハテナを浮かべる羽場ちよちゃん。
を、不思議そうに伺うちよちゃんの女友達が三人。
何とも奇妙な空間で感謝の気持ちを伝えに来たはずのAはニヤけたまま、緊張か照れかのどちらか、いやどっちもでフリーズしていた。ニヤけたまま。
ちよちゃんはAが生きているのかさえも心配に思えてきてしまい、手を伸ばしかける。
そこで気付いた。
「あぁっ、Aちゃんそれ……」
「そ、それ、え、あっこれ」
「受け取ってくれたんだね! よかった、あたしだめかと思ってたから嬉しいよ!」
「えぇぇ、嬉しいのはこっ」
「もしかしてお礼に来てくれたの!? Aちゃんやっぱり優しくていい子なんだね! 松陽先生の言う通りにして成功だったぁぁぁ!!」
「あ、うん。ありが」
「これから気軽にお話できるし松陽先生もAちゃんに女の子の友達が出来て喜んでくれるねぇぇぇぇひゃっほぉぉぉぉぉおおげほっがはっっ、ぐぁっ……!」
「吐血したァァァ!?」
お礼を言わせてもらう間もなく血を吐かれてしまいしどろもどろになってしまう。
「ち、ちよ大丈夫!?」
「興奮しすぎたのかな!?」
「どどどどうしよう……っ」
まさか吐血するとは思っていなかったちよちゃんのお友達三人も、青い顔でちよちゃんに駆け寄った。
対し、何も出来ず佇むA。
(な、何これ、私が悪いのこれ? これ私が悪いことになるのこれ?)
さっきまでのシリアスかつ平和的な雰囲気はどこへやら。
血の海と化した和室にはトマトの臭いが充満した。
「だ、大丈夫だ、よ……ちょっと叫びすぎただけだから……」
「いや血ドボドボ口から零しながら言われても全く安心できないんですけど!! 安心させて欲しいんですけどォ!?」
「ゴポォッ!!!」
「ギャァァァ死ぬぅぅぅ」
広がるトマト、染みてゆくトマトの赤。
グロテスクな深紅の色。は、トマト。
「……トマトの、匂いだ」
Aの鼻はやっと正常に機能した。
これは紛れもないトマトの匂いだ。少し酸っぱくて弾けるような旨味のあるあのトマトだ。
血じゃ………ない。
「ふふ、ふふっあはは! ドッキリ大成功〜!」
「え───」
「トマトで吐血大作戦、成功だよ"皆"!」
「………え」
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時