41/恋敵の友と友 ページ41
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【晋助視点】
Aが松陽先生を唯の父親として捉えていない事は、薄々勘づいていた。一人の男性としてあいつは先生を慕っているのだと。
だからそこまで衝撃は無かった。
ヅラはどうか知らないが、敗北感も無かった。
毎日見て聞いて一緒に過ごしているからこそわかる。Aの気持ちは二つに分かれている。
"一人の男性"として好きな気持ちと"一人の父親"として好きな気持ちが一個の器に詰められているようなモンだと、俺は感じた。
「ヅラぁ。この際だから聞くがよ」
月明かりの下、縁側に腰を下ろす。
「……何だ」
「お前が好きなのは、人妻じゃなくてAだな」
オブラートなんぞはゴミ箱に捨てて、言った。
黙ったまま俺の隣に腰を下ろすヅラの横顔を、俺もまた黙って伺う。
「───そうだ」
「だろうな」
「いつから知っていた」
「確信したのはついさっきさ」
お開きになったであろう恋バナとやらを思い出し、月を仰ぐ。
肩に手置いたぐらいであんな恨めしそうな顔で見られちゃ嫌でもわかる。あぁこいつ、Aが好きなんだなってよ。
そもそも、ヅラに隠す気がなかった。
「Aは先生が好きなんだと。お前、どうする」
月だけに目線を絞り、声だけをヅラに向けた。
「………。俺はお前と違って図太くない」
「よく言うぜ。石頭NO.1」
「それもAに貰ったうちの言葉だな」
沈んでいた声色がふわりと軽くなった。
思わず、月からヅラの横顔に目線を移す。
ヅラは、静かに微笑んでいた。
その目は、諦めたようでも始めたようでもあり大きな覚悟を決めた直後の熱い炎すら感じられた。
「ヅラも、石頭NO.1も。Aに貰った大切な俺の名前だ。今では小太郎と呼ばれるよりヅラと呼ばれる方が嬉しく思っている程だ」
「………」
「高杉、お前にもあるだろう。あいつから貰った大切な言葉の数々が」
やっと、ヅラと目線が交わった。だが、俺は即座にその目から逃れるため顔を逸らした。
酷く優しい顔をしていたから直視できなかった。
まるで俺が、お前の
「……、バカ杉、低杉。思い返すとろくなモンじゃねェが。確かに俺にもある」
『お前も十分そのバカ面だけどな』
『だから、明日もやろうね。高杉』
『おやすみ。晋助』
全部───。
「俺は図太くない、が。お前がそうやって立ち上がると言うなら俺も負けてはおれん」
「……。そうか」
「ああ。今日から晴れて"恋敵"だ」
42/それぞれのおめかし(個性)→←40/好きな人いないとか絶対嘘
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (
レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか？これからも頑張ってください！！ (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか？ (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか？ (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2018年9月21日 23時
