26/二度目の松下村塾 ページ26
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───あれから数週間が経った。
一度失った松下村塾をもう一度建て直そうというAの提案に反対する者は一人としておらず、キョウダイ達総出で資金やら道具やらをかき集めた。
桂の提案で、以前よりも人目につかない場所を選んだり。
そこには、ラッキーなことにぴったりな廃屋がポツリと建っていた。プラスで離れもあった。
宴会場か大所帯の宿泊部屋として使われていたのか道場として使うのに最適な空間だった。
「いやー、こんなに最適な場所がこうも簡単に見つかるとは思わなかったなァ」
「だがホコリだらけな上に老朽化も目立つ。だからこうして総出で働いてる……ってのにお前は何でジャンプ読んでんだコラ」
金槌片手に釘を打つちよと松陽、重そうな板の束を運ぶ幸太郎。おにぎりを握る桂をジャンプ越しに見ていたら、後ろから小突かれた。
いてっと言う前に手元からジャンプが奪われる。
「返せ私のジャンプっ」
「お前がその脚でジャンプして俺達を手伝え。一人だけ怠けてんじゃねェ」
「私だけじゃないだろ! 桂なんかアイツおにぎり握ってるよ!? アレ許していいの! おにぎりにめっちゃ木屑着いてるよふりかけちゃってるよ!」
「今先生が注意しに行ったから心配しなくていい。それより立てバカ」
グイッと腕を掴まれ強制的に立ち上がった。
「離せ高杉ぃ! 次週で完結のトロール・イン・カルパッチョまだ読んでる途中なんだぞ!」
「そんな駄作臭しかしないマンガ尚更読ませるか。お前は手を動かせ」
「てめっ、タイトルだけで中身まで決めつけんなよ! 大事なのは見た目じゃない、中身なんだよ! 読んだら絶対トロールに惚れるからな!」
「もう惚れるのは充分だ!」
お前だけで。
という続きの言葉はぐっと飲み込み、Aの腕を引いた。
「またじゃれ合ってるんですか。お二人さん」
「にゃー」
松陽と銀が並んで二人の前に立った。
その後ろには丸々としたたんこぶを頭の上に作った涙目の桂が。
そんな桂を見た途端。
「じゃれ合ってねェ!!」なんて反論すら忘れピシッと背筋を伸ばしジャンプを彼方へ放り投げた。
「今何か飛んで行きました?」
「鳥だよ鳥! 森も近いし多いんだよ!」
「鳥にしてはカラフルだったような」
「気のせいだって!!」
「そうですね、ここ最近は作業続きですし」
何とか誤魔化すことに成功し、ほっとため息をついた。
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時