16/松陽のゲンコツは世界一痛い ページ16
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「しょ、松陽……」
呟いたAの額から、冷や汗がタラりと溢れた。
同様に高杉、桂の頬にも脂汗がつたる。
「そう……侍たる者ハンパはいけない」
松陽は百点満点、花丸を贈呈したくなる程の綺麗な笑顔でAの目の前に立った。
「多勢で少数をいじめるなどもっての外。ましてや、私のカワイイ
子兎のように震えるAにふわりと微笑みかけ、ふわりと、銀色の頭の上に拳をセットする。
自分を庇うような言葉と笑顔とは裏腹に、Aの顔色はどんどん寒色に冷えてゆく。
「ですがA」
その拳が、コツン。
と銀髪に触れた。
「君達ハンパ者がサボりを覚えるなんて百年早い」
「ぶへら！！」
少女の下半身はもれなく地面に埋まった。
「銀髪女子……」
「…………」
アレはゲンコツなんて可愛いものではない。ゲンコツなんて一言で片付けられるような一発ではない。やっとAが見せたあの反応の意味がわかった。
桂よりも丸い目で、桂よりもAを凝視していた高杉。
ハっとし、硬直状態を気合で抜け出す。
「お、おい、アンタ」
埋まった衝撃で気を失ったAを、せっせと発掘し始めた松陽に駆け寄った。
「何でしょう」
ズボっ。
やっとこさ地中から開放されたAの着流しは土まみれになっていた。汚れも気にせずAを腕の中に優しく抱き上げ、ヤンチャな娘に手をやく父親のような顔を見せた後、
真剣に自分を見つめる高杉に、また一味も二味も違った笑顔を向けた。
「そいつに、伝えてくれ」
「はい」
「すぐに追い越してやるって」
それは身長と。
その他に含まれた意味は高杉にしか分からない。
それでも、松陽は嬉しそうに「ええ」と応えた。
「お騒がせしました、小さなお侍さん」
同じく地面に突き刺さっていた真剣を回収し、もう一度Aを強く抱き直してから古びた鳥居を抜けた。
だがしかし、すぐに立ち止まった。
「言い忘れてました。この子は"そいつ"ではなく"A"です」
それだけ言い残すと今度こそ階段を下りて行った。
「妙な二人組であったな」
つい先程までの喧騒が嘘のように静まり返った空間でポツリと零した桂。
冷や汗を拭い、凛々しい顔を取り戻すと一向に動かない高杉の背中を叩いた。
「高杉、どうした」
「───あァ、何か言ったか」
「……。いや、気にせんでくれ」
そうか。
洩れた言葉は、妙な熱をもっていた。
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (
レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか？これからも頑張ってください！！ (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか？ (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか？ (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2018年9月21日 23時
