45/初めての恋敵勝負 ページ45
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「店の中に入れば問題ありません」
そう言ってAと入店した松陽にトコトコと続いた高杉、桂両者は頬を赤く染める想い人をじっと見つめていた。
暫しその状態だったが、二人は顔を見合わせると頷き棚の影に入って行く。
この時、Aにあらぬ誤解をされているとも知らず二人は『松陽先生にベタ惚れなAをどうやって振り向かせるか』相談していた。
「微笑ましく思ってしまった俺がいる……」
「ヘタレ。見守ってどうすんだ」
「だが高杉、見ろ。あの二人の空間だけ桃色だぞ。フローラルな香りがしてくるぞ」
「気を保て。バカ」
桃色に染まりかけの桂の頬を軽くひっぱたき、二人の様子をこっそり観察することにした。
すると、Aが白い着流しをじっと見つめている。
「あいつ、雲柄が好きなのか?」
「Aらしくてよいな。
だが寸法が合わないのでは……」
それぞれ感想を落としたところで、松陽がAの頭に手を置いた。
神経を研ぎ澄まし耳を傾ける。
「大人になってから着ればいいんですよ」
ガラガラガッシャーン!!!
高杉と桂の頭に落雷並みの衝撃が落ちた。
「な、なんという……流石は先生。何年先の未来にまでAの着物姿を拝む先約を取り付けるとは、あれが大人の男というものか」
「………」
感銘を受ける桂に対し、高杉はまた別の何かを感じていた。
(先生の目が……一瞬
眉をひそめる高杉。
閃いたように目をかっぴらく桂。
「高杉。勝負しないか」
「は?」
「それぞれが三分以内でAに似合うと思う贈り物を選び、どちらの贈り物がAに気に入って貰えるかという勝負だ」
やけに覇気のある声でそんな提案を出した桂に、高杉は突然何言ってんだこいつ。と怪訝な目を向ける。
が、しかし昨晩『恋敵』になったばかりの相手を目の前に仕掛けられた勝負を断るのは癪だと思った。
ここは潔く勝負を買い、完膚なきまでに負かす。
それが最もだと言う結論に至った高杉は「いいぜ。その勝負受けてやるよ」と少し笑った。
「では、三分だ。三分後ここに『Aに似合うと思う贈り物』を持って戻ってくる事」
「金額は」
「問わない。いくらでも消費して構わん。だが、"あの"Aのことだ。額に興味は持たんだろう」
「……そうだな」
フッと笑い合うと、それぞれ立ち上がった。
高杉は右の通りに、桂は左の通りに。
「負けぬぞ」
「俺が勝つ」
全速力で駆けて行った。
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時