【WT】鏡花水月のイデオロギー【銀魂】

29.『大仏の悪趣味が火を吹いた』 ページ41

いつの時代も、争いはやめられない。

私はそれをよく知っている。

かつて、死ねない男はそう言っていた






大仏は瞑っていた瞳を開ける。嫌なものを見たと、頭を振る。薄暗い部屋で、寝ていたのかと呟く。ぼんやりとした頭で傍に置いてあったスマホを手に取ると、通知が凄いことになっていた。

「……あっ、やっべ、全部城戸さんじゃん」

これは、死ぬかもしれないと口元を引きつらせた。

よし、見なかったことにしてしまおう。

大仏はそう決め込み、もう一度眠ろうとすると、再びバイブ音が響いた。無視だ無視と思っていると、いや待てと別の思考が歯止めをかける。

出なくても殺されるじゃん。

すぐ様天秤にかけると、三秒ほどで答えが出た。大仏はスマホを手に取ると、着信が切れない内に通話をタップした。

「もしもし、いや、城戸さん、私寝てたわけじゃないんだ、これでも忙しかった」

「いや、城戸さんじゃないから。俺だからね、銀さんだよー。っかアレからも寝てたんだな。」

城戸だと思って出た電話に、大仏はあれ、と首を傾げる。何故、現在、戦闘中のハズの銀時が？

「いや、俺、離れたところから電話してんの。ねぇ、何で神威たちきてんの？」

大仏はその事か、と笑った。銀時は城戸さんに怒られないのかと尋ねるが大仏は電話越しに笑った。

「銀時、忘れたのかな？私は城戸さんの命令よりも優先順位の高いものを」

只管愉快そうに笑う彼女に銀時は性格悪いと、溜息をついた。

＊

「嵐山隊現着した」

迅一人で、という雰囲気が一気に覆された瞬間だった。嵐山隊は、本部所属のA級隊員である。

「忍田派をつけたか」

太刀川は感嘆の声をあげる。ボーダー内の派閥、３分の1がついたことになる。まあ、城戸派は勢力大だから何ともないが、忍田がつくことに問題があるのである。

「ちょ、早く言うアル新八」

「そうだよ、隊長。」

その影から見覚えのある声が聞こえてきた。ある種の嫌な予感が澱として沈み始める。

「分かってるよって。し、志村隊、現着した！」

一番最悪な混戦が幕を開けようとしていた。

「オイコラ大仏いいいいいいいい！！！」

桂隊は眠りこている大仏に文句を叫んだ。

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