【WT】鏡花水月のイデオロギー【銀魂】

23.『不穏な空気と懐かしい名前』 ページ31

三雲が人型近界民と接触していた。そこで開かれた緊急会議。大仏は見事に遅刻し、肝心の所で来たのである。

「迅、黒(ブラック)トリガーを捕獲しろ」

城戸のこの言葉と同時に大仏はこっそりと入ってきた。その言葉故か、大仏は入り口で一瞬固まりかけたが、直ぐに気づかれないようにそそくさと入って何事もなかったかのように座った。まるで初めからここにいたぜ雰囲気を出している。

「それは出来ません」

迅がそう言い切る。話が全く見えはしないが、どうやら三雲が人型近界民と関わりがあるのは確実だったらしい。

そしてその人型が黒トリガー使いであり、同じく黒トリガーの迅を使ってその貴重な戦力を頂こうという魂胆だと見た。

黒トリガーとは、強力なトリガー使いが自身の力を後世に残そうとして編み出される強力なトリガーのことだ。

製作者の性格も反映されるから、使い手は中々生まれないがその威力は桁違いである。

このボーダーには他に黒トリガー使いは、鏡月支部に一人、本部に一人。

そして、迅が先程、できないと告げたのはボーダーのシステム故だ。命令の重複を避けるために、直属の部下にしか命令を下せないようになっている。その為、迅の直属の上司は林藤支部長、玉狛支部の支部長だ。

「迅、行ってこい。但し、やり方はお前に任せる」

林藤の言葉に迅は不敵に笑って、それを呑み込んだ。

ああ、こいつ、引き入れるつもりじゃないか。

それを勿論分かっている鬼怒田や根月がぎゃいのぎゃいのと野次を飛ばす。

しかし、唐沢の言葉によってそれは止まった。

「きみの友人の近界民が"こっち"に来た目的は何なのか、君は聞いてないか？」

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