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今日もまたあの夢。

グレーの制服と帽子をつけた幼少期の自分が下校途中の男の子を見つけては手を大きく振り、相も変わらず楽しそうに日々を過ごしているみたいだ。

レム睡眠が終盤に近づき、また夢が冷めるというときに。その夢に初めて音がついた。


「訓…みが…ら行で……る……字…て」

変声期前の少し高い男の子の声で、夢の中のAに向けて、なにかについて説明している。

風の音さえも聞こえない静かな場所なのに、男の子の言葉が途切れ途切れになってしまって、聞こえない部分の所為で何をいっているか夢を見ているAにはわからない。

『……くん……ほん…物知…だぁー!』


幼少期の自分は男の子に向かって純粋にパチパチと手を叩いて感心し、尊敬の念を表している。

少し年上の子に憧れを持つのはあの頃の年代ではよくあること。きらきらとした夢の中のAの瞳を見ているともしかしたらこれがAの初恋なのかもしれない

夢の中のAはすんなりと男の子の名前を呼んでいるんだろうけど、肝心の男の子の名前は鼓膜に届いてくれなかった。

男の子か誰かが知りたくて、夢の中Aは二人に必死に手を伸ばしてみたが、足は固まり手が動かない。

夢は夢。

Aはそのまま目を覚まし、Aは令和である現実の世界に戻ってきてしまった。

男の子と笑顔の自分の姿は消えた。

天井を見上げ、Aは目を伏せ瞼を隠すように腕を置く。

幸せな夢なはずなのに。悪夢ではないのに。

目が覚めたとき喪失感と、思い出せない気持ち悪さと、何故だか浮かんでくる涙のせいで、Aは眠ることが怖くなってしまった。

.→←第四部 夢路



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わらべ(プロフ) - 和奏さん» とても返信遅くなりましたがコメントありがとうございます!夢主のこと好きって言って貰えてこれ以上ないくらい幸せです!ひとくせある子が好きなので今回の夢主も気に入っていただけると嬉しいです!また読みに来てくださいませ! (2022年1月23日 20時) (レス) id: de37784df7 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - わらべさんのお話はどれも夢主ちゃんのことが大好きになるので不思議です…更新のたび覆されてワクワクするし最高です〜!これからも応援してます。 (2021年12月31日 23時) (レス) @page44 id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - すみれさん» コメントありがとうございます!好き嫌いが極端に出そうで中々進んで行かない作品ですが、本当に書きたいものを書きたいままやっていました!そこで1人でも好きと言っていただけたので本当に嬉しいです!更新は遅めですが頑張ります! (2021年10月11日 20時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - めっちゃ好きです〜更新楽しみにしてます!! (2021年10月8日 17時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わらべ | 作成日時:2021年4月17日 12時

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